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ADLの介助の仕方2~食事 I (環境設定・動作面)について~

今回より2回にわたり、「食事の介助」について紹介していきます。

初回は食事に関する環境設定と動作について、次回は摂食と嚥下について説明します。

食事は嚥下(飲み込み)や栄養摂取の問題だけでなく、道具や場所・姿勢といった環境にも大きく影響をうけます。

まずは、食事の姿勢と環境に関しての説明です。

姿勢について

  • ベッド上でとる食事
  • 車いすに座ってとる食事
  • 椅子に腰掛けてとる食事

などがあげられます。

高齢者は姿勢の傾きによっても誤嚥※する可能性があります。場所がそれぞれ違っても、食べやすい姿勢が確保されなければなりません。(※食物が食道ではなく気道に入ること)

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姿勢について

一般的なテーブルの高さは70cm程度であり、成人男性に適した高さになっています。体型が小柄な方には高さの不一致が生じます。

高さが合わない時の対応としては、

  • クッションを敷き、食事の際だけ座面を高くする
  • テーブルの高さを調節する

などがあげられます。

では、以上のことを含め食事の正しい姿勢を以下に示します。

次は、食事の動作について説明します。

身体が不自由な場合、こぼしても良い工夫(エプロンを使用など)をして、自分で食べる楽しみを見出す事も重要です。そんな時は、スプーンやフォーク、あるいは適当な自助具を使うと良いでしょう。

それでは自助具について説明します。

自助具 特徴 対象
ばね付き箸
箸の操作が簡単になる。
  • 握力の弱い場合
  • 指先の細かい動きが難しい場合
長い柄のスプーン・フォーク
口元から食器までの距離的問題を解消する。
  • 腕が上がりにくいなど関節の動きに制限がある場合
カフ付きスプーン・フォーク
握力がなくても保持が可能
  • 指の筋力低下
すくいやすい皿
皿の中身をすくうことが簡単
  • 指の力が弱い場合
ホルダー付きコップ
握らずにコップの保持が可能
  • 握力の低下

食器などを机の上に安定させるには、吸着盤やゴム板などを用いると片手で食事がとりやすくなります。ぬれた布や紙を敷くだけでも安定しやすくなります。また、スプーンやフォークも、ハンカチやガーゼを巻くなど工夫することで家庭のものでも使えることがあります。

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自助具等については購入したが一回も使われずに終わったというものもあるので、選び方や使用についてはできるかぎり、リハビリスタッフへの相談をお勧めします。

以上で、今回のリハビリテーション講座を終わります。

次回は『食事 II ~摂食・嚥下について~』を紹介する予定です。

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(参考・引用文献)

  • 土屋弘吉,今田拓,大川嗣雄:日常生活活動(動作)—評価と訓練の実際—,医歯薬出版株式会社,2003,p92-94.161.162.251
  • 一般社団法人日本作業療法士協会監修:作業療法全書第10巻作業療法技術論2「日常生活活動」,㈱共同医書出版社,2005,p178.179.188
  • 野尻晋一:リハビリテーションからみた介護技術.中央法規出版株式会社,2006,p120‐134