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動作介助の仕方 11 ~ADLってなに?~

今回より、「ADLの動作介助」について紹介していきます。まずは、用語についての説明です。

では、日常生活動作とは?


次は、ADLに似た用語のAPDLについての説明です。

よって、ADLは以下の図のように分類されます。

  • 食事・整容・更衣・排泄・入浴のいわゆる身の回り動作(セルフケア)5大項目は生活の基本的な一部です。

  • 障害のない方が一日の中でセルフケアに費やしている時間は、起床から就寝までの時間の20%以下、在宅で寝たきりの方でも30%前後です。

  • 残りの約80%の時間はAPDLや移動、コミュニケーション、趣味や仕事といったことに費やされています。

では、次にADLの難易度について紹介します。

動作の難易度は疾患や生活習慣などが大きく影響します。そのため、動作の難易度は人や状態によって異なります。参考までに、難易度の例をあげてみると・・・

  • 食事や洗面など手を使うだけの動作は、はじめに獲得しやすい動作となっています。

  • 続いて、更衣は衣服に足や手を通すなど手足の動きが必要となります。寝返りや起座動作についても更衣動作の基本であり、食事と比較すると難易度が高くなります。

  • 便器での排泄は身体の移動を伴うため、難易度が高くなります。

  • 最も難易度が高いのは入浴・床からの立ち上がりとなります。これらは、身体の移動が最も多く含まれ不安定な動作であるため難易度が高いとされています。

また、日常生活の自立度は様々なものにより影響を受けます。

要因としては、物的環境・人的環境・本人の心理的問題などが考えられます。この要因により自立を阻害する可能性もあり、自立を促進する場合は調整が必要です。

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家屋環境とADL

病院や施設では可能であったADLが、自宅では介助に頼らざるをえない場合は多々見受けられます。

これらの原因は環境の違いにある事も事実です。特に、畳上の生活、玄関や廊下の段差、トイレや浴室の狭さなどがあり、直ぐに解決出来る課題ではありません。

そのような場合の解決方法として、

があります。住宅の改造や福祉用具類の選び方については利用者によって方法や対応が異なります。利用者の状況や生活環境を踏まえ、適切なものを選ぶことが重要です。できるかぎり、リハビリスタッフや専門職への相談をお勧めします。

以上で、今回のリハビリテーション講座を終わります。

次回よりADLの5大項目、セルフケアの動作介助について紹介していきます。食事・排泄(トイレ)・整容(洗面や整髪など)・更衣(着替え)・入浴の順に紹介していく予定です。

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(参考・引用文献)

  • 土屋弘吉,今田拓,大川嗣雄:日常生活活動(動作)—評価と訓練の実際—,医歯薬出版株式会社,2003,p1-15.44-46.322‐324
  • 一般社団法人日本作業療法士協会監修:作業療法全書第10巻作業療法技術論2「日常生活活動」,㈱共同医書出版社,2005,p1‐3
  • 野尻晋一:リハビリテーションからみた介護技術.中央法規出版株式会社,2006,p15
  • 財団法人保健福祉広報協会編集:福祉機器選び方・使い方2007,財団法人保健福祉広報協会,2007,p1.32