トップページ  > 先端医療講座 >  狭心症のお薬

狭心症のお薬

心臓では心筋が絶え間なく収縮、弛緩を繰り返し全身に血液を送り出しています。 そのためには心筋自体も絶えず酸素を必要とします。心臓にはこの心筋に血液を送り込み、酸素や栄養分を供給している冠動脈という血管があります。

狭心症は、この冠動脈の一部が狭くなることによって血液の流れが悪くなり、心筋に充分な酸素を与えることができなくなった病態をいいます。

狭心症は、心筋の虚血(酸素不足)が一時的(可逆的)に起き、胸痛発作などの症状が起こります。

ページのトップに戻る

1.狭心症の種類

冠動脈が細くなる原因としては、大きく分けて動脈硬化によるものと冠攣縮によるものがあり、それによって狭心症は2つのタイプに分けられます。

このような発作の原因による分類とは別に、病状が安定しているかどうかによっての分類方法もあり、安定狭心症、不安定狭心症に分けられます。

安定狭心症とは、どのくらいの動作で発作が起こるかをある程度予測できたり、発作の持続時間が短かったりといった、比較的安定した状態をいいます。

不安定狭心症は、初めて発作が起こってから3週間以内や、発作の回数が増えてきたり、発作時のお薬が効かなくなってきたり、軽い動作で発作が起こるようになってきたりした状態で、心筋梗塞になりやすい危険な状態をいいます。

ページのトップに戻る

2.お薬における治療について

硝酸薬、β遮断薬、Ca拮抗薬が中心になります。それぞれの薬の作用機序を示します。

狭心症の治療はこれらのお薬を中心に、発作を起こさないように予防する、2)発作が起きたときはそれを鎮めるといった2つの治療を行っていきます。

ページのトップに戻る

3.発作の予防

狭心症は心筋への【酸素供給量<酸素消費量】の状態により起こるため、狭心症の治療としては

  1. 心筋での酸素消費量を抑える(末梢血管を広げる、心臓の仕事量を減らす等)
  2. 心筋での酸素供給量を増やす(冠動脈を広げる、冠動脈の痙攣を抑える等)

の2つの方法があります。

薬としては持続性の硝酸薬、β遮断薬、Ca拮抗薬が中心となります。

発作を予防するお薬
作用順序 副作用 備考


全身の血管を拡張
  1. 静脈を広げて血液を貯蓄させ、心臓への血液の戻りを減少させることにより、心臓の負担を軽減
  2. 動脈を広げて末梢血管抵抗を軽減させることにより心臓の負担を軽減
  3. 冠動脈を広げることにより、酸素供給量を増加
飲み始めは一時的に頭痛が起こることがある

その他、血管の拡張による、頬両潮紅、めまい、動悸、低血圧
  • 労作、安静、不安定狭心症のいずれにも有効
  • 予防には作用時間の長い作故性遅剤の経口薬、テープ剤、軟膏剤が使われる
  • 硝酸薬で治療中の方は、勃起機能不全治療薬のバイアグラやレビトラは禁忌
Ca


細胞内にCaイオンが導入されると、血管の平滑筋や心筋が収縮する。
Ca拮抗薬はCaイオンの導入を導入するため
  1. 冠動脈・末梢動脈拡張、心筋収縮力を抑制することにより、心筋の酸素消費量を現象
  2. 血管の痙攣を抑制
末梢血管拡張による、頬両潮紅、めまい、動悸など
ペラパミル、ジルチアゼムは心機能低下に注意
  • 血管の痙攣を抑える作用があるため、安静狭心症にも効果的
  • ニフェジビンは血管収縮作用を有し、ペラパミルはこれに加え心臓にも作用し、心筋収縮作用を有する。
  • ジルチアゼムはその中間的薬剤
β


心拍数を減少、心筋収縮力を低下させることにより、心臓の負担を軽減し、心筋の酸素消費量を減少 β受容体にはβ1、β2受容体があるため、薬によって異なる

β1受容体に関与する副作用性脈、うっ血性心不全など

β2受容体に関与する副作用性気管支喘息など
  • 労作狭心症でよく使われる。
    (血管を収縮させる作用があるため、安静狭心症、不安定狭心症では使いにくい)
  • 急に服薬を中断すると反発的に動悸、狭心症の誘発が生じることがあるので危険!

その他にもジピリダモール、塩酸ジラゼプ、トラジピルなどの冠動脈拡張薬、抗血小板薬、高脂血症薬、ACE阻害薬などを併用することもあります。

ページのトップに戻る

4.発作の鎮静

狭心症の発作時には、即効性の硝酸薬が使われます。
舌下錠やスプレータイプの即効性のある剤形が使われます。
通常、1~2分でお薬が効き始めます。(ニトロール錠は3~5分)

発作はいつ、どこで起きるかわからないため、常に携帯するだけでなく、職場や家庭の各場所にも置いたり、使用期限やお薬の残量をこまめにチェックすることも大切です。

発作を抑えるお薬
持続時間 使用法の注意

ニトログリセリン
ニトロベン錠など
10~30分
  • ニトロベン錠は必ず舌下で溶かす(飲み込むと効果減弱)
  • ニトロベン錠の場合

    発作時に1錠
    5分経っても効果不十分なとき
    1錠追加
    5分経っても効果不十分なとき
    さらに1錠追加(1回の発作には3錠まで)

  • ニトロール錠は舌下だけでなく、内服も可(ただし効果発言まで15分程かかる)
硝酸イソソルビド
ニトロール錠など
1~2時間



ニトログリセリン
ミオコールスプレー
30分
  • ミオコールスプレーの場合
    初めて使用するときは、必ず噴霧液が出るまで6~7回空吹きしてから使用。
    初めてでなくても、1ヶ月以上おいて使用するときは1回空吹きしてから使用。
  • ニトロールスプレーの場合
    初めて使用するときは、必ず噴霧液が出るまで6~7回空吹きしてから使用。
    初めてでなくても、3日以上おいて使用するときは1回空吹きしてから使用。
  • ニトロール錠は舌下だけでなく、内服も可(ただし効果発言まで15分程かかる)
  • 発作時に1噴霧
    5分経っても効果不十分なとき
    もう1度1噴霧(これ以上は使用しない)

硝酸イソソルビド
ニトロール錠など
1~2時間

上記のように使用しても、胸痛などの症状が15分以上続くときには、特に重い狭心症または心筋梗塞の可能性があるため、直ちに主治医に連絡するか、または救急病院に運んでもらってください。また、これらのお薬には詳しい説明書を添付しています。

お薬による治療も大切ですが、狭心症にかからないためには、その直接の主な原因となる動脈硬化を防ぐことも大切です。

動脈硬化を引き起こす危険因子として、代表的なのは次の6つです。

(1)高血圧 (2)高コレステロール血症 (3)タバコ (4)肥満
(5)糖尿病 (6)ストレス

これらの危険因子は、日頃の生活での注意で解決することができます。

ページのトップに戻る

以上で、今回の「薬剤講座」は終了します。

次回は、インフルエンザについて予定しています。