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緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)

Pseudomonas属

  • P.aeruginosa
  • P.fluorescens
  • P.putida
  • P.mendocina
  • P.alcaligenes
  • P.pseudoalcaligenes

緑膿菌はグラム陰性桿菌でありPseudomonas属に分類される。

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分布

自然界に広く分布し、湿潤な環境を好む。特に、水、汚水、土壌、果物、野菜などに生息する。

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伝播・病原性

本来、病原性の低い菌であるが、免疫力が低下していると難治性の感染症を引き起こし、院内感染の原因菌ともなっている菌で、主に呼吸器感染症、尿路感染症、創傷感染症、敗血症、髄膜炎菌などの起因菌である。

また、緑膿菌はエンドシキンを産生し、血液中に侵入すると多臓器不全や不可逆性ショックを誘発するため、免疫力の低下した患者さんを収容している病院などの医療施設では注意が必要である。

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薬剤耐性

近年、薬剤耐性菌としても注目されており、全国的にMDRP(多剤耐性緑膿菌)の報告が確実に増加してきている。MDRPにはメタロβ-ラクタマーゼを産生するMBL型と産生しないMBL非産生型とがある。特にMBL型は多くの抗菌薬(ペニシリン系薬、セファロスボリン系薬、セファマイシン系薬、オキサセフェム系薬、βラクタム阻害剤、カルバペネム系薬)に対して耐性を示す。

MBL非産生型は、第3世代セファロスボリンやセファマイシンなどに効果が期待できる場合もあるが運用には注意が必要である。MDRPは5類感染症に分類され、定点指定医療機関は報告を義務付けられ、その動向が監視されている。

MDRPの報告のための基準

診断した医師の判断により、症状や所見から当該疾患が疑われ、かつ、以下のいずれかの方法によって病原体診断がなされたもの

病原体の検出

  1. 血液、腹水、胸水、髄液など、通常は無菌的であるべき臨床検体から分離された場合(敗血症・心内膜炎、腹膜炎、胸膜炎、髄膜炎、骨髄炎など)で、以下の検査室での判断基準を満たすもの
  2. 喀痰、膿、尿、便など無菌的ではない検体からの分離では、感染症の起因菌と判定された場合(肺炎などの呼吸器感染症、肝・胆道系感染症、創傷感染症、腎盂腎炎・複雑性尿路感染症、扁桃炎、細菌性中耳炎・副鼻腔炎、皮膚・軟部組織感染症など)で、以下の検査室での判断基準を満たすもの
検査室での判断基準
以下の3つの条件を全て満たした場合

  1. イミベネムのMIC,≧16μg/mlまたは、イミベネムの感受性ディスク(KB)の阻止円の直径が13mm以下
  2. アミカシンのMIC,≧32μg/mlまたは、アミカシンの感受性ディスク(KB)の阻止円の直径が14mm以下
  3. シブロフロサキシンのMIC,≧4μg/mlまたは、シブロフロサキシンの感受性ディスク(KB)の阻止円の直径が15mm以下

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培養

至適温度37℃、41℃で発育、4℃で発育不可。好気培養で普通寒天培地、BTB培地、血液寒天培地、NAC寒天培地に発育。37℃、18~20時間培養のBTB培地、血液寒天培地では直径1~2mmの扁平、辺縁不正、金属光沢を伴った集落を形成し、特有の匂いがある。

ムコイド型の集落は正円形、盛り上がった透明な粘張性のある集落を形成する。多くの菌株で色素を産生し、青緑色のピオシアニン、蛍光黄緑色のビオペルジン、また赤色のビオルピン、褐色のビオメラニンを産生する菌株もある。

色素産生株

色素生産:ミューラーヒントン寒天培養培地

下記は当施設で分離された3個の菌株についてBTB培地での培養、グラム染色像を施したものである。

上図は喀痰材料から分離された菌株で、コロニーは(×400倍)の方がやや大きく、金属光沢があり、ムコイド状となっている。

上図は耳漏から分離された菌株である。上記の2株とは異なり、辺縁不正で 染色像もやや異なる。分離された菌株によってコロニーや染色像は異なるが、特有の匂いや色素産生性などの特徴により他の陰性桿菌よりも比較的同定しやすい菌である。

分布でも述べたように水周りを好む菌で台所や手洗い場などにも常在し、身近な菌とも言えるため医療施設などでは特に注意が必要である。

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(参考・引用文献)

  • 微生物学/臨床微生物学 (医歯薬出版)