トップページ  > 先端医療講座 > 動作介助の仕方9~移乗動作の介助方法(2)~

動作介助の仕方9~移乗動作の介助方法(2)~

前回に引き続き、「移乗動作の介助方法」を紹介していきます。

今回は、全介助の移乗動作のポイントについて述べさせていただきます。

片マヒの場合
乗り移る際に体を回す方向と車椅子を止める方向は前回と同じです。

例:ベッドから車椅子に移る場合

詳しくは、前回の「移乗動作の介助方法(1)」をご覧ください。

まずは、片マヒの全介助の移り方について説明していきます。(右マヒの場合)

1.車いすからベッドに移る場合

  1. 移乗が行いやすいように、よい方(マヒしていない側)がベッド側になるように近づけます。
  2. 対象者の腰を前方に引き寄せ、浅く腰かけるようにします。
  3. 介助者はひざの内側で対象者のマヒ側のひざをはさみ、支えます。両手で対象者のズボン(またはベルト)を握ります。
  4. 前へ傾けるようにして立たせます。対象者のひざと上半身をしっかり固定したまま、介助者は体重を後方へかけ、体を回します。
  5. 対象者のお尻がベッドに向くまで回し、対象者と同時に腰をおろすように座らせます。

ページのトップに戻る

2.ベッドから車いすに移る場合

車いすからベッドに移る方法とほとんど変わりません。

ポイントとしては、移る前に対象者の腰を前方かつ車いす側に引き寄せて腰かけると移り易くなります。

■こんな時は■

ひざをはさむのが難しい場合

介助者はベッド側の足を後ろへ引きます。反対側の足を対象者の足の間に差し込み腰を落とします。

体格が大きい、体重が重い人の場合

介助者の腰の前面(ベッド側)へ対象者の上体がもたれかかるようにします。介助者は対象者の背中側からズボン(またはベルト)を握ります。

ページのトップに戻る

次に、2人で行う全介助の方法について紹介します。

3.車いすからベッドに移る場合

2人で介助する場合

主な介助者 ⇒ 後方の介助者
サポート役 ⇒ 前方介助者

になります。

  1. ベッドの横に車いすを近づけ、2人の介助者は対象者の前後につきます。(※車いすのアームレスト(肘おき)が取り外せる場合、ベッド側のみ外しておくと移り易くなります。)
  2. 対象者の両手を組み、後方の介助者は対象者の脇の間から組んだ腕を握ります。前方の介助者は対象者のひざを持ちます。
  3. かけ声に合わせて、後方の介助者は対象者の上体を、前方の介助者はひざの部分を持ち上げます。横移動するように対象者を車いすに近づけます。
  4. 後方の介助者は対象者のズボン(またはベルト)へ握りかえます。
  5. 後方の介助者は車いすの後方に立ちます。前方の介助者は片手で対象者の上体を支え、反対の手で両足を支えます。かけ声に合わせて対象者を持ち上げながら車いすに近づけます。
  6. 車いす上に対象者が移動したら、ゆっくりと腰をおろします。

※ ただし、介助の量が多い場合は前方介助者は両手でひざを抱え込む事もあります。介助量は対象者に合わせて変動します。

ページのトップに戻る

今回の説明の例は右マヒですが、左マヒの場合、今回説明した方法と左右対称の方法で行います。

以上で、今回のリハビリテーション講座を終わります。

次回は、「車いす」について紹介していく予定です。

ページのトップに戻る

(参考・引用文献)

  • 木村哲彦:イラストによる安全な動作介助の手引き.医歯薬出版,2001,p56-69.
  • (社)日本理学療法士協会編:家庭でできるリハビリテーション.アイペック,2001,p44-49.
  • 鹿児島大学大学院運動機能修復学講座機能再建医学鹿児島大学病院霧島リハビリテーションセンター編集:あなたにも出来るリハビリテーションとケア.斯文堂株式会社.2004.p43