トップページ > 先端医療講座 > 動作介助の仕方8~移乗動作の介助方法(1)~
動作介助の仕方8~移乗動作の介助方法(1)~
今回は、「移乗動作の介助方法」を紹介していきます。
まず、移乗動作の介助のポイントについて述べていきます。
- 移乗動作を安全に行うには…
- 体を回転させる際、マヒしていない方向(右片マヒでは左方向、左片マヒでは右方向)へ乗り移ります。
- 移乗を効率よく行うには…
- 移乗しようとする目的物が、マヒしていない側にくるようにします。
- これらに気をつけることで、体を回転させる角度も少なく、マヒしていない方の手で支えながら移乗ができます。
■片マヒの場合■
例:ベッドから車椅子に移る場合
(右マヒの場合) (左マヒの場合)
まずは、片マヒの基本的な移り方について説明していきます。(右マヒの場合)
- 移乗が行ないやすいように、よい方へ車いすもしくはベッドを近づけ、浅く腰かけます。
- マヒ側の足は前に、よい方の足は後に引きます。
- ベッドもしくは車いすに手をつき、立ち上がります。
- 立ち上がったら、よい方の足を軸に回転して向きをかえます。
- お尻が車いすもしくはベッドに向いたら、ゆっくりと腰をおろします。
■ポイント■
- 立ち上がる
- お尻から足の方へ体重をかけていくと立ち上がりがしやすくなります。
- すわる
- 立った状態から体を前へ曲げながらすわると、ドシンと腰をおろすことが少なくなります。
次に部分介助の方法について説明します。(右マヒの場合)
1.ベッドから車いすに移る場合
- 介助者は対象者のマヒ側に立ちます。
- 対象者はよい方の手で、ベッドから遠い側の車いす肘かけを握ります。
- 対象者は体を軽く前へ傾けるようにし、腰が浮いてきたら介助者は対象者を引き起こします。
- 対象者の立ち上がった姿勢が安定してから、よい方を軸にして体を回転させます。
- 車いすにお尻が向くまで回したら、対象者はゆっくりと上体を前に傾けて腰をおろします。
2.車いすからベッドに移る場合
- 介助者は対象者のマヒ側に立ちます。
- 対象者はお尻を前にずらし、車いすに浅めに腰かけます。
- よい方の足は後ろへ引き、マヒ側の足は前に出します。介助者は対象者の前方へ近づき、膝を曲げて重心をできるだけ低くします。
- 対象者と介助者は膝を伸ばしながら一緒に立ち上がります。
- 対象者の立った姿勢が安定してから、よい方の足を軸に回転させます。
- 介助者がバランスをとりながら、対象者は上体を前に傾けるようにしてゆっくりと腰をおろします。
■介助のコツ■
- 介助の姿勢
- 足を開いて重心を低くする姿勢が基本です。
腰だけ曲げるのではなく、ひざも曲げて重心を低くします。- 立ち座りの介助
- 介助は対象者にできるだけ近づき、ひざの曲げ伸ばしを使うことが大切です。
※ひざを伸ばしたまま中腰で行うと腰をいためます。
今回の説明の例は右マヒですが、左マヒの場合、今回説明した方法と左右対称の方法で行います。
以上で、今回のリハビリテーション講座を終わります。
次回は、「移乗動作の介助方法(2)」について紹介していく予定です。
(参考・引用文献)
- 木村哲彦:イラストによる安全な動作介助の手引き.医歯薬出版,2001,p60-61.
- (社)日本理学療法士協会編:家庭でできるリハビリテーション.アイペック,2001,p44-49.