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異常脳波とは?

前回は脳波検査や賦活法、正常の脳波について紹介しましたが、今回は異常脳波について紹介したいと思います。

異常脳波とは、正常範囲に入らない脳波のことですが、主に次の3つに分けられます。

  1. 非突発性異常脳波(基礎律動の異常)
  2. 突発性異常脳波
  3. 周期性放電

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(1)非突発性異常脳波(基礎律動の異常)とは?

前回でも述べましたが、成人の正常の脳波はα波とβ波が主要成分を成し、θ波がわずかに混入していることがあります。基礎律動の異常はこれらの波の異常で、振幅の増減や欠如、左右差(lazy activity)、徐波の出現などがみられます。また、徐波(δ波)は、成人ではほとんど出現することはありません。そのため、基礎律動の徐波化は、脳機能低下をあらわすものと考えられています。


左右差(lazy activity)
右側の脳波波形(F4・C4)の振幅が左側脳波波形(F3・C3)より高振幅である。

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(2)突発性異常脳波とは?

そのほとんどがてんかん性のもので、陰性スパイク群と、陽性スパイク群とに大別されます。

* 陰性スパイク群
  1. 棘波(spike)・・・・・背景脳波から突出した上向きの尖鋭な波です。
    鋭波(sharp wave)・・棘波が間延びしたような波形です。
  2. 棘徐波複合(spike & wave complex)、鋭徐波複合(sharp & wave complex)
  3. 多棘波(multiple または poly spikes)
  4. 多棘徐波複合(multiple spikes & wave complex)
  5. 高振幅の徐波
  6. 棘波が無秩序に出現する Hypsarrythmia(ヒプサリズミア)があり、脳内の発作や身体的な発作と結びついています。
* 陽性スパイク群
  1. 14&6Hz陽性棘波(14&6Hz positive spikes)
    14Hzまたは6Hzのアーチ状の連続した下向きの棘波です。
  2. 6Hz棘徐波複合(6Hz Phantom s-w)
    6Hz陽性棘波に小棘波が結合したような波形です。

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(3)周期性放電とは?

周期性放電とは、同一波形の異常放電が一定の周期で同期性または一側性に反復出現する突発性異常波であり、放電波形の出現は疾患により様々な様式を示します。

● 周期性同期性放電(PSD)
一定の周期で比較的規則的に反復する全般性(両側性)、左右同期性の突発性の異常波です。クロイツフェルトヤコブ病や、亜急性硬化性全脳炎(SSPE)等に好発します。
● 周期性一側性てんかん様放電(PLEDs)
高振幅な鋭波、棘波が1~2秒感覚で一側性(器質性病変が存在する側に半球性、または焦点性)に出現します。
脳血管損傷(特に脳梗塞)に最も多く出現しますが、他にも代謝性・中毒性疾患などにも見られます。
● 両側独立性周期性一側性てんかん様放電(BIPLEDs)
前述のPLEDsが両側性、左右独立性に出現します。無酸素脳症、中毒性脳症や脳炎などに見られ、高度の意識障害と関連があり予後不良です。
● 三相性波
血中アンモニア濃度の上昇による意識障害時に出現し、肝硬変症による昏睡の初期などに見られます。

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てんかん発作と脳波

脳波検査が、もっとも威力を発揮する領域に「てんかん」があります。「てんかん」とは、大脳の神経細胞の過剰な興奮に基づく発作を繰り返すものであり、てんかん発作の種類や、その脳波的特徴には、主に以下のものが挙げられます。

* 欠神発作
主に学童期に発症し、数秒~数十秒間、一瞬動作が止まったり、持っているものを落としたり、数秒間ぼーっとしたりしますが、すぐに回復します。
脳波像 :高振幅・3Hz棘徐波複合が出現します。
* West症候群(幼児けいれん、点頭てんかん)
乳幼児期(4ヶ月~2歳)に発症し、持続1~3秒の発作時には上体を前屈させます。
脳波像 : 高振幅の徐波、棘波が不規則に出現し、高度の律動異常が全域に現れます。
(Hypsarrythmia ヒプサリズミア)
* Lennox-Gastau症候群
小児期(2~8歳)に発症し、持続5~20秒程の強直発作、欠神、脱力などを伴います。
脳波特徴 : 1.5~2.5Hzの棘徐波複合がみられ、特に睡眠時には顕著に出現します。
* ミオクローヌス発作
顔面、四肢などの筋肉に短時間のピクッとした痙攣がおこります。
脳波像 :多棘徐波複合が出現します。
* 側頭葉てんかん
大多数が、扁桃核と海馬という側頭葉の内側部の障害により発作がおこります。意識の混濁やまとまりのない話、自動運動などを伴います。
脳波像 :鋭波、棘波が側頭葉に出現します。

その他の異常脳波

てんかん以外で、特徴的な脳波像を示すものには次のような疾患があります。

* 肝性昏睡
肝機能の極端な低下によって、意識障害がおこります。鳥のように手をバタバタしたり、自分の家の配置が分からなくなるなど、異常な行動を起こします。
脳波像 :3相性波が出現します。
* クロイツフェルトヤコブ病(CJD)
脳に異常な蛋白質(プリオン蛋白)が蓄積し、脳神経細胞の機能が障害され、脳が海綿(スポンジ)状に変性する疾患です。
異常行動、性格変貌、痴呆、歩行障害などがおこり、数ヶ月以内に痴呆が急速に進行し、ミオクローヌス発作が起こります。
脳波像:周期性同期性発射(PSD)
一定の間隔(0.6~2秒)で、棘波(鋭波)・徐波が、全般性、左右同期性に出現します。

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