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動作介助の仕方6~立ち上がり動作の介助方法~
今回は、「立ち上がり動作の介助方法」を紹介していきます。
まずは、立ち上がり動作を説明していきます。
- 両足は肩幅程度に開き、足底全体を床につけて、座面に浅く、座ります。
- 上体を前へ倒して体重を前方へ移動させます。
- おしりを前方へ滑らせて、両足に体重をのせます。
- 膝と股関節を伸ばしていき、立ち上がります。
※上体を前へ倒した時に上体と頭を前傾に保つ力がない場合には、前傾になることに不安を抱き、抵抗する方もいます。
※股関節が約90°以上曲げられない方は上体を前へ倒しにくく、また、足関節が硬くなっている方はおしりを前方へ滑らせにくくなります。
次に、実際の介助方法について、説明していきます。
1.全介助による方法
- 椅子の座面に浅く、腰掛けさせます。介助者は前方に立ちます。
- 介助者は脇の下から、腰に手を回します。
- 介助者は腰を落とし、対象者の上体を前方へ倒すように誘導し、肩に対象者の上体をのせるようにします。
- おしりが浮いてきたら、バランスをとりながら立たせていきます。
※介助者はできるだけ、対象者に近づくようにします。
※介助者は自分の体重移動をしっかりと行うことで、対象者の動作を誘導しやすくなります。
2.部分的な介助方法
- 介助者は対象者の一側に位置し、足の筋力が弱い側に立ちます。
- 介助者は肩に手を置き、上体を前方へ倒す誘導を行い、反対の手で、対象者の膝を固定します。
- 対象者の体重を両足にのせられるように、膝にあてた手の固定を緩め、膝と股関節を同時に伸ばしながら立たせていきます。
3.床からの立ち上がりの介助方法(右片麻痺の場合)
- 介助者はマヒしている側に位置し、対象者は良い方の脚を膝で曲げ、マヒしている脚の下にいれます。
- 対象者自身が左前方へ体重を移し、おしりを浮かす動作に合わせて、介助者は骨盤を自分に引き寄せながら、持ち上げていきます。
- 対象者は右手、右脚、左脚で支え、介助者は左側へ倒れないように支えます。
- 対象者の左脚を後ろに引いていくように体重移動を誘導していきます。
- 立位になったら、足をそろえてバランスを取ります。
※床かからの立ち上がり動作の場合、テーブルなどのしっかりとした台を使うことで、介助が容易になります。
以上で、今回のリハビリテーション講座を終わります。
次回は、「歩行・階段昇降の介助方法」について紹介していく予定です。
(参考・引用文献)
- 木村哲彦:イラストによる安全な動作介助の手引き.医歯薬出版,2001,p48-53