坑不安薬
現代社会において私たちは、環境や生活様式・人間関係により、いろいろな種類の刺激、ストレスの基で生活をしています。そのような中で不安や緊張感が強くなり日常生活に支障が出るようになれば治療が必要となります。
こうした疾患の治療で主に用いられるお薬が、抗不安薬です。抗不安薬には不安を和らげるだけでなく、緊張をほぐし、焦燥を緩和する作用があります。実際多くのケースでこの抗不安薬は投与されています。抗不安薬としては、ベンゾジアゼピン系、SSRI、SNRI、三環形抗うつ薬などいろいろと種類がありますが、今回は、ベンゾジアゼピン系の抗不安薬を中心にご紹介いたします。
1.抗不安薬の作用について
抗不安薬というと、ベンゾジアゼピン系のお薬がほとんどです。ベンゾジアゼピン系のお薬については前回の薬剤講座:睡眠薬の項でもお話ししましたが、これらの化合物は様々な作用があります。
主な作用としては抗不安作用、筋弛緩作用、鎮静作用、催眠作用、抗痙攣作用です。この中で抗不安作用のより強いものが抗不安薬、催眠作用が強いものが睡眠薬として用いられます。
このようにベンゾジアゼピン系のお薬はそれぞれの持つ作用には違いがみられます。よって、抗不安作用だけを発現させたいと思っていても、他の作用も副作用として発現する可能性が高いのです。

2.抗不安薬はどのようにして効くのか
不安が起こるメカニズムとしては、脳のアドレナリン神経やセロトニン神経が関係しており、不安の時にはそれらの神経の働きが過剰になっていると推測されます。抗不安薬はこの過剰な神経活動を抑制する方向に働きます。
ベンゾジアゼピン系の薬剤は脳の神経のベンゾジアゼピン受容体という部位に特異的に結合します。結合したことにより大脳辺縁系に作用して、GABA(ガンマアミノ酪酸)神経を活性化します。このGABA神経は他の神経系の過剰な活動を抑える作用があります。こうして大脳辺縁系の神経活動を抑制し、抗痙攣、鎮静などの作用をもたらします。

3.薬剤の種類と特徴
ベンゾジアゼピン系抗不安薬は今日では20種類以上もの多くの薬剤があります。これらはどのように使い分けられているのでしょうか。大まかには、作用の強弱と作用時間の長短で分類されます。

症状の程度に応じて様々な製剤があるので症状に合った物を選択します。また、体格、年齢、職種、コンプライアンス、使用状況などから使い分ける必要があります。
4.副作用
ベンゾジアゼピン系抗不安薬を服用中の患者さまに対しては、副作用がどの程度発現しているかをチェックしながら、必要であれば薬剤の変更・減量を考えなければなりません。
最も頻度が多いのは眠気、ふらつきです。前述しましたが睡眠薬のほとんどがベンゾジアゼピン系ですので、最も多い副作用というのは納得できるでしょう。この眠気に対しては、服用を続けているうちに慣れてくる副作用です。日常生活に支障が出るほどではありませんが、それでも眠気が強く出る場合には量を減らすか、就寝前に服用するか、お薬を変更します。眠気まで行かなくても集中力の低下、ぼんやり感などがある場合が多いので自動車の運転などひかえて下さい。
ふらつきについては、筋弛緩作用から起こります。高齢者の場合、転倒して骨折するケースがあるので注意が必要です。逆に頭痛、肩こり、腰痛などはこの作用で改善することがあります。他にも脱力感、疲労感などがみられることもあります。
これらの副作用はほとんどが、服用を続けるうちに自然と体が慣れてきます。また、ベンゾジアゼピン系のお薬も長期間連用すると軽度ですが依存が起こることが分かってきました。しかし、治療で使われる量では急にやめないように気をつけておけば心配はありません。お薬をやめる時にはいっぺんにやめずに徐々に減らしていく方法があります。自分の判断で服用を勝手に中止しないように気をつけましょう。
次回は、血栓症のお薬~血栓溶解薬~について予定しています。