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脂質異常症~高トリグリセリド血症治療薬~

高脂血症のうちトリグリセリドの値が150mg/dL以上を高トリグリセリド血症といいます。トリグリセリドを低下させる薬剤に以下のものがあります。

表1.抗がん性構成物質

一般名 商品名 適応
ドキソルビシン アドリアシン® 悪性リンパ腫、肺がん、消化器がん、乳がん、膀胱がん、骨肉種、尿路上皮がん

※代表的な治療法
●悪性リンパ腫 : CHOP療法/ABVD療法/ACVBP療法
●乳がん : AC療法/ACF療法
●尿路上皮がん : M-VAC療法

※吐き気、嘔吐の発生頻度がシスプラチンに次いで高いです。

リポソーマルドキソルビシン ドキシル® エイズ関連カポシ肉腫、再発した卵巣がん

※2009年4月に「再発した卵巣がん」が追加適応として承認されました。

※リポソームという微小カプセルの中にドキソルビシンが閉じ込められた造りになっており、マクロファージに捕食されることなくがん細胞へ到達するため、作用時間が長く副作用も少ないです。ただし、ドキソルビシンの代わりとしては使用できません。

このほか、高コレステロール血症治療薬であるスタチン系の薬剤はトリグリセリドの低下作用もあり高コレステロール血症を伴うときに選択されます。
今回は高トリグリセリド血症のお薬について説明します。

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1.フィブラート系薬

○働き

フィブラート系の薬剤は体内の脂質の流れを促進する LPL を活性化させて、トリグリセリドを下げるとともに HDLコレステロールを増やします。
また、LDLコレステロールの数を下げるだけでなく、その粒子のサイズを大きくする作用もあって、それによってLDLコレステロールも減らします。

○副作用および相互作用

フィブラート系やスタチン製剤を服用している方に、非常にまれながら横紋筋融解症という副作用が起こることが知られています。特に腎臓の働きが低下している方にフィブラート系とスタチン製剤の両方が処方された場合、その頻度が高くなるとされています。これは、両方の薬が互いに血中濃度を上昇させるように働くためと考えられています。このため、腎臓の働きが低下している人には、併用は「原則禁忌」とされていて、どうしても必要がある場合のみ慎重に併用されることになっています。

横紋筋融解症は重症になると、命が左右される場合もある危険な副作用です。当然、主治医は普段から十分注意していますが、患者さん自身も、副作用ではないかと気になることがあれば医師または薬剤師に伝えるようにしてください。不自然な筋肉痛や脱力感、褐色尿(黒ずんだ尿)が出たら、服薬を中止してすぐに受診してください。

また、抗凝血薬のワルファリン(ワーファリン®など)やスルホニル尿素系血糖降下薬(オイグルコン®、アマリール®など)を併用している方は、それぞれの薬剤の抗凝血作用や血糖降下作用が強くなるため注意が必要です。

○その他注意

フィブラート系の薬剤は以下の方には禁忌です。

  • 肝機能障害のある方
  • 腎機能障害のある方
  • 胆のう疾患、胆石症のある方
  • 妊婦または妊娠している可能性のある方

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2.ニコチン酸系製剤

○働き

ニコチン酸誘導体です。高脂血症を改善する作用と、血行をよくする作用があります。総コレステロールとトリグリセリドの両方を減少させます。LDLコレステロールが減る一方、HDLコレステロールはむしろ増加します。また、コレステロールの一種リポプロテイン(a)を低下させる働きもあります。ニコチン酸はビタミンBの一種で、副作用も少なく長期服用も安心です。

○副作用
  • 潮紅(体や顔が赤くなる)、ほてり、かゆみ
  • 頭痛、めまい
  • 発疹、じん麻疹
  • 食欲不振、吐き気、吐く、下痢
  • 血糖値上昇、尿酸値上昇

顔が赤くなったり、ほてることが多くこれは血管拡張作用によるもので、それほど心配いりません。徐々に慣れてくるものですが、ひどいときは早めに受診してください。

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3.EPA製剤

○働き

EPA(イコサペント酸)が有効成分です。イワシやサバなど青魚に含まれる不飽和脂肪酸と同じ成分です。中性脂肪を減らす作用があります。
また、血小板の働きをおさえて、血液が血管内で固まるのを防ぎます。

○副作用
  • 歯ぐきの出血、鼻血、皮下出血(青あざ)、血尿、月経時の出血が多い
  • 胃の不快感、吐き気
  • 肝機能値の異常
  • 発疹、かゆみ

アスピリンやワルファリンなど他の抗血栓薬といっしょに飲むと血が止まりにくくなるおそれがあります。また、手術や抜歯の予定のある人は、事前に医師と相談しておきましょう。

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以上で、今回の薬剤講座を終了します。
次回は、『抗悪性腫瘍薬~序論~』について予定しています。

(参考文献)