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就労支援

病気になると、入院中も退院後も、まずは身の回りのことを行うのが精一杯・・・
そんな中、身の回りのことができるようになって生活が定着してくると、少しずつ仕事復帰を考えてきます。

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◇就労するまでのリハビリの支援 1)

A : 医療的リハビリテーション、社会的リハビリテーション期

◎休業補償制度(傷病手当)2)
病気休業中に被保険者とその家族の生活を保障するために設けられた制度。病気やけがのために働くことができず、会社を休んだ日が連続して3日間あったうえで、4日目以降、休んだ日に対して支給される。金額としては、一日に付き基準報酬日額の3分の2に相当する額。

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B : 職業的リハビリテーション期

◎障がい者の就労形態 3)
◆一般雇用
①トライアル雇用(障がい者試行雇用事業)
公共職業安定所(ハローワーク)の紹介にて労働者を短期間(最大3ヶ月)に試用期間を設けて雇用し、企業側と労働者側が相互に適性を判断した後、両者が合意すれば本採用が決まるという制度。
2003年より施行

※条件:45歳~64歳の中高年齢者、35歳未満の若年者、母子家庭の親、障害者、日雇い労働者・ホームレス

②短時間労働
1週間の労働時間が20時間以上30時間未満での雇用。会社の担当者に申し出るか、会社の所轄の公共職業安定所への申し出が必要。
③職場適応援助者(ジョブコーチ)による支援事業での雇用
職場適応援助者(ジョブコーチ)とは2002年に施行された事業で、障がい者が就労できるように職場内外の支援環境を整える者を指す。障がい者職業センター、民間社会福祉法人、障がい者を雇用する企業に所属している。このジョブコーチに支援してもらいながらの雇用。
④特例子会社などでの雇用
障がい者の雇用に特別な配慮をし、障がい者雇用率の算定において親会社の一事業所と見なされる子会社での雇用。

※従業員54人以上を雇用する会社は、そのうち障がいをもっている従業員を、従業員全体の1.8%以上雇用することが義務付けられている。

⑤最低賃金の適用を除外した雇用
次の労働者は最低賃金法の適用除外での雇用ができる。
  • 精神又は身体の障がいにより著しく労働能力の低い者。
  • 試の試用期間中の者。
  • 職業能力開発促進法の認定を受けて行われる職業訓練のうち、職業に必要な基本的な技能及びこれに関する知識を習得させることを内容とするものを受ける者。
  • 所定労働時間の特に短い者。軽易な業務に従事する者。
⑥在宅勤務(在宅就業障害者特例調整金・報奨金)
企業が在宅就業障がい者又は在宅就労支援団体を介して仕事を発注し、自宅で仕事を行う。企業が在宅就業障がい者又は在宅就業支援団体に対して仕事を発注する場合、障がい者雇用納付金制度に基づく特例調整金・特例報酬金の支給対象となる。
◆一般雇用以外
①一般雇用以外
障がいなどの理由で企業で働けない人のために、働く場を提供する福祉のこと。授産施設や福祉工場、作業所など。
②NPOなどの民間非営利組織での雇用
③就労移行支援事業、就労継続支援事業

就労移行支援 : 就労を希望され、かつ一般企業に就労されることが可能と判断された65歳未満が対象。必要な訓練、求職活動の相談、職場の開拓、就労後の職場への定着支援を行う。

就労継続支援(雇用型) : 企業等に就労した経験はあるが現在は失業しており、一般の企業に就労が見込める者が対象。自社で雇用して就労に必要な訓練や支援を行い、再度一般就労を目指す。

就労継続支援(非雇用型) : 就業移行支援を利用したが一般企業等の雇用に結び付かなかった者や、65歳以上の障がい者の人で、まだ一般就労を目指したい人が対象。

◎年金の仕組み 2)
日本の年金制度は、国民年金(基礎年金)を基礎とした3階建て構造。

◆支給される年金

基礎年金 厚生年金 共済年金
①65歳になった場合 老齢基礎年金 退職共済年金 老齢基礎年金
②障がい者になった場合 障がい基礎年金 障がい厚生年金 障がい共済年金
③生計維持者が死亡した場合 遺族基礎年金 遺族厚生年金 遺族共済年金

◆障がい年金について

◇支給要件
  • 保険証納付済期間(保険料免除期間を含む。)が加入期間の3分の2以上ある者の障がい。
  • 20歳未満のときに初めて医師の診察を受けた者が、障がいの状態にあって20歳に達したとき、または20歳に達した後に障がいの状態となったとき。
◇障がいの認定
初めて医師の診療を受けたときから、1年6ヶ月経過したときに障がいの状態にあるか、または65歳に達するまでの間に障がいの状態となったとき。また、初めて医師の診察を受けた日から1年6ヶ月以内に、次の7項目に該当する場合があるとき。
  • 人工透析療法を行っている場合
  • 人口骨頭又は人工関節を挿入置換した場合
  • 心臓ペースメーカー、植え込み型除細動器(ICD)又は人工弁を装着した場合
  • 人工肛門又は新膀胱の造設、尿路変更術を施行した場合
  • 切断又は離断による肢体の障がい
  • 喉頭全摘出の場合
◇障がい等級の例
  • 1級両手の機能もしくは両足に著しい障がいを有するもの
    両目の矯正視力の和が0.04以下のもの
  • 2級片手もしくは片足の機能に著しい障がいを有するもの
    両目の矯正視力の和が0.05以上0.08以下のもの
  • 3級(障がい厚生年金のみ)
    2級よりも軽い障がい
    両目の矯正視力の和が0.01以下のもの

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◎生活保護
資産や能力等すべてを活用してもなお生活に困窮するすべての国民に対し、その困窮程度に応じ必要な保護を行い、健康で文化的な最低限度の生活を保障するとともに自立を助長する制度。
相談、申請窓口は、地域を所轄する福祉事務所の生活保護担当。
◎就労を支援する地域の機関・施設等の役割4)
機関・施設 役割
医療機関 医者 職場復帰の早期の見極めとスタッフへの指示
評価・合併症の管理
看護師 評価・合併症の管理
リハビリ 心身機能回復訓練、基本動作能力回復訓練
家庭生活支援
前職業訓練、適性の評価
社会福祉士 経済的支援(制度の活用法)や職場復帰の相談
公共職業安定所(ハローワーク) 職業紹介、職業指導等の業務を行うため国が設置する機関。求職を申し込むと、障害の状況・技能・知識・適性・身体能力・希望職種等も含めて登録される。
障がい者職業センター 障がい者職業総合センターを中核に、広域障がい者職業センター、地域障がい者職業センターで構成され、職業リハビリテーションに関する専門的知識および技術を有した障がい者職業カウンセラーが配置されている。
障がい者就業・生活支援センター 関係機関と連携しながら、障がい者の就業及びそれに伴う生活に関する指導・助言、職業準備訓練のあっせんなど、職業生活における自立を図るために必要な支援を行うものとして、都道府県知事が指定する社会福祉法人、NPO等。
※この他にも、様々な方が就労支援に関わっています。

(参考文献)

  1. 菊池恵美子(編):作業療法ジャーナル6月増刊号 Vol.43 No.7 2009  三輪書店
  2. 日本年金機構ホームページ:http://www.nenkin.go.jp/
  3. 平賀昭信、岩瀬義昭(編):作業療法学全書改訂第3版 第12巻 職業関連活動 2010
  4. 独立行政法人 労働者健康福祉機構ホームページ:http://www.rofuku.go.jp/
  5. 石川齊、古川宏(編):作業療法技術ガイド 第2版 2005
  6. 「働きたい」を支える作業療法 (社)日本作業療法協会保健部