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糖尿病 ~インスリン療法について~

インスリンは膵臓から分泌されるホルモンで、エネルギー源となる血液中のブドウ糖を肝臓や筋肉・脂肪組織に取り込み、血液中のブドウ糖の濃度、つまり血糖値を調節しています。糖尿病はこのインスリンの分泌量が低下したり、働きが不足するため血糖値が高くなる病気です。そこで、直接インスリンを注射によって補給するで血糖値をコントロールするという方法がインスリン療法です。

今回はインスリン療法についてお話します。

1.インスリン療法が必要となるのはどんな時?

通常、血糖値は常に一定量のインスリンが分泌される基礎分泌と、食事の後などの血糖上昇に対して分泌される追加分泌によってコントロールされています。1型糖尿病の場合どちらのインスリン分泌もなくなってしまうため、インスリン療法が必須となります。

2型糖尿病では、食事・運動療法や飲み薬での血糖値コントロールがうまくいかないとき、膵臓の負担を軽くし残っているインスリン分泌力を長く保つためにもインスリン療法により血糖値をコントロールします。

その他以下の場合にインスリン療法を行います。

インスリン療法の適応

  • 妊娠した場合
  • 重症感染症、外傷、中等度以上の外科手術(全身麻酔施工例など)
  • 重症の肝障害、腎障害を合併しているとき
  • 糖尿病性昏睡

最近では、インスリン製剤や注射器の改良、血糖測定器の普及などによりインスリン療法を取り巻く環境は著しく改善され、インスリン療法は1型糖尿病の患者さんだけでなく2型糖尿病患者さんにも治療手段として広く受け入れられるようになってきています。

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2.インスリン注射薬の種類

かつてのインスリン製剤は人間のインスリンと比較的似ているブタやウシのインスリンを使用していましたが、やはり人間のものとは違いがあるため長期間使用すると効果が下がってくるなどの抗原性が問題でした。しかし、約20年前に「ヒト型インスリン」という人間が体内で作り出すインスリンと同じ構造のものを人工的に作ったインスリン製剤が開発されました。

インスリン注射薬には持続時間や効果発現の開始時間などの違いによって様々な種類があります。超速効型・速効型・中間型・超速効型または速効型と中間型がMixされた混合型・約24時間一定の濃度を保つ時効型など、その人のインスリン分泌パターンに合わせそれぞれのインスリン注射薬の特徴を生かして使い分けます。そのため1種類単独で使うこともあれば、数種類を併用して使うこともあります。

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3.インスリン注射の方法

インスリン注射にはペンにあらかじめインスリン製剤が装着されているものや、カートリッジタイプ、バイアルタイプがあります。また、インスリン単位のメモリが大きく表示されているタイプなど様々なタイプの製品がありその人の用途にあった型のインスリン注射を使用します。

インスリン注射は皮下注射なので、注射部位としてはお尻・おなか・上腕・太ももの外側が適しており、自分の打ちやすい部位を決めて注射します。注射部位によってインスリンの吸収のスピードが異なるため注射部位は変えませんが、針をさす場所は毎回少しずらして打ちます。同じ場所に打ち続けると皮膚が硬くなりインスリンがうまく吸収されず効果が発揮できなくなるためです。最近は技術が進歩しており注射の針も痛みの少ないものになってきているようです。

1日の血糖値をコントロールするため、打つインスリンの単位や回数は人それぞれであり、その人の血糖値の変動にあわせて治療計画を立てます。

そのため、インスリン自己注射をする際は血糖値を測定し、自分の血糖値の動きを把握しておくことが効果的です。現在、簡易型の自己血糖測定器により自宅で簡単に血糖値を測定することが可能です。

インスリン療法を行っている人に関して、血糖自己測定は『血糖自己測定指導加算』として保険適応となっており、その保険点数の中に血糖測定に必要な機械や電極・針などが含まれています。自己血糖測定を行い、家庭での日常の血糖値の変動の特徴を知ることでより良い血糖コントロールが可能となるでしょう。

以上で、今回の薬剤講座を終了します。

次回は、『糖尿病~低血糖とシックデイの対処法~』について予定しています。

(参考文献)

  • 日本イーライリリー株式会社  ホームページ
  • 糖尿病ネットワーク Diabetes Net ホームページ
  • 糖尿病治療ガイド 日本糖尿病学会編
  • 処方が分かる医療薬理学  中原保裕