トップページ > 先端医療講座 > 小児リハビリテーションについて ~自閉症の子どもが日常生活の中で困っていること~
自閉症の子どもが日常生活の中で困っていること
1.コミュニケーションについて
- (1)自分が話したいことを一方的に話す(相手に合わせられない)ことで、他者との円滑なコミュニケーションが難しい
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子どもの特徴
好きなことに夢中になりやすい。そのことで、相手に対する配慮に欠けてしまう。〈例〉好きなゲームの話をするといつまでも止まらない。途中で割り込まれるのを嫌がり、周囲が困っていることにも気づかず話し続ける。
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【対応策】・・・話してよい状況(場面・時間)と悪い状況をはっきり区別する
注意!) 腹を立てるのではなく、話してよい時間・場面を子どもに伝える。- ①時間を決める。
- ②決めた場面・時間以外に話を始めたら、受け答えを控え次の機会を待つように伝える。
- ※この時、言葉での理解よりも絵・文字・写真が得意な子どもにはイラストなど作って説明するとわかりやすい子どももいる。
- (2)人の気持ち・表情を読み取れない(遠回しな表現・態度が理解できない)ことで、相手に勘違いされてしまう。
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子どもの特徴
表情・ボディーランゲージが分からない。
(表情や身振りに込められた意思や感情の表現を理解できない)〈例〉怒られている場面で、不思議そうな表情をする。
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【対応策】・・・具体的な表現で伝える
- ①表情の意味を伝える ; 「口の端が上がったら、笑っている」など表情の意味を具体的に伝える。実際の人物の顔には色んなパーツがある為、中には理解が難しい子どももいる。その時は、まずは点と線だけで表記したものから始めると良い。
- ②遠まわしな言い方をしない ; 表現をごまかさず、「~は終わります」など、単純で明解な言葉で伝える。
- ※ 言葉を素直に受け取ることは得意な子どもが多い。
- ★子どもたちが生活していく中で上記したような背景により、他者とのトラブルやパニックになる場合がある。
これらは、子どもたちの適切なソーシャルスキルの未獲得・衝動性抑制の弱さ・ストレス耐性の低さが考えられる。
また、感情コントロールが難しく悩んでいる子どもも多い。
必ず、落ち着いたら何が原因だったのかを明確にし、解決策を考えていくことが次につながっていく。
2.感覚過敏について
- (1)さらわれることを極端に嫌がる
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触覚 ⇒ さわること・さわられることに過敏な反応を示す。
〈例〉入浴、洗髪を嫌がる。手がベタベタすることを嫌う。聴覚 ⇒ 音に対して敏感な子が多い。
〈例〉大きな音や機械音を嫌がる。(運動会や発表会時に混乱してしまう原因の一つ) -
【対応策】
- ①急に触ることは避ける ; 体に触れる前に予告する。
(声を掛ける、子どもの目線から近づく) - ②少しずつ慣れさせる ; 短時間だけ触るなど抵抗の少ないことから始める
※子どもに、苦手なものからの回避方法も伝えると良い。 - ③自分でやらせる ; 洗体や洗髪などの洗い方を伝える。
- ①急に触ることは避ける ; 体に触れる前に予告する。
参考・引用文献
1)アスペルガー症候群(高機能自閉症)のすべてがわかる本:佐々木正美、講談社、2007
2)ことばの遅れのすべてがわかる本:中川信子、講談社、2007
3)発達障害に気づいて・育てる完全ガイド:黒澤礼子、講談社、2008
4)発達障害と作業療法【実践編】:岩崎清隆・岸本光夫、三輪書店、2005
5)子どもの理解と援助のために感覚統合Q&A:佐藤剛、協同医書出版社、2007