ヘルペスのお薬
ヘルペスはヘルペスウイルス科のウイルスによって引き起こされる病気です。医学的には人に感染するヘルペスウイルスは全部で8種類知られています。
| 種類 | |
|---|---|
| ① | 単純ヘルペスウイルス1型(HSV-1) |
| ② | 単純ヘルペスウイルス2型(HSV-2) |
| ③ | 水痘・帯状疱疹ヘルペス(VZV) |
| ④ | サイトメガロウイルス(CMV) |
| ⑤ | EBウイルス(EBV) |
| ⑥ | ヒトヘルペスウイルス6(HHV-6) |
| ⑦ | ヒトヘルペスウイルス7(HHV-7) |
| ⑧ | ヒトヘルペスウイルス8(HHV-8) |
今回は皮膚疾患を起こす口唇・性器ヘルペス、水疱瘡・帯状疱疹のお薬についてお話します。
| ウイルス | 種類 |
|---|---|
| 単純ヘルペス 1型 |
口唇ヘルペス ヘルペス性歯肉口内炎 GH(性器ヘルペス) ヘルペス性角膜炎 カポジ水痘様発疹症 ヘルペス性脳炎 など |
| 単純ヘルペス 2型 |
GH(性器ヘルペス) 臀部ヘルペス ヘルペス性髄膜炎 |
| 水痘・帯状疱疹ウイルス | 水痘 帯状疱疹 |
1.ヘルペスの症状
- 口唇ヘルペス
-
口唇ヘルペスは単純ヘルペスウイルス1型によって引き起こされます。日本人の10人に1人が経験したことがあると言われるほど一般的な病気です。風邪で熱が出たときや、疲れ・ストレスがたまって免疫力が落ちた時などに口の周りにできる水ぶくれが口唇ヘルペスです。
単純ヘルペスウイルスは最初に感染したあと免疫ができても、何らかのきっかけで再発、再感染を繰り返すのが特徴です。最近は若い人の感染率の減少により、免疫を持っていない人も増えてきています。
- 性器ヘルペス
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GH(性器ヘルペス)は、主に単純ヘルペスウイルス2型により引き起こされ、水ぶくれが性器やお尻の周辺にできる性感染症の一つです。セックスなどで感染してから4~10日の潜伏期間をおいて発症し、初感染時はひりひり感、むずがゆさ、灼熱感、痛みなどを感じます。その後、水ぶくれができたのち、つぶれてかいよう性の病変がたくさんできるのが特徴です。
何の治療もしないと治るまでには3週間かかりますが、きちんと治療すると1週間くらいで治すことができます。
- 水痘
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水痘(水ぼうそう)は水痘・帯状疱疹ウイルスによって引き起こされ、発熱と全身に強いかゆみを伴う発疹が特徴の感染症で、「水痘にかからない子供はほとんどいない」といわれるほど子供にはよく見られる病気です。
小さい時期にかかった場合、一般的に熱もそれほど高くなく発疹の数も少なくてすむことが多いのですが、年齢が上がるにつれて、重症化しやすく、発疹も多くなる傾向があります。
水痘はワクチン接種をすることにより予防することができ、また一度感染すると免疫ができ2度と感染することはありません。
- 帯状疱疹
- 帯状疱疹は子供の時かかる水ぼうそうが治った後、ウイルスが身体の神経節に何十年も潜み続け、身体の免疫力が落ちたときに再び増殖を始めることで引き起こされます。皮膚がぴりぴりした感じや鈍痛から始まり、かゆみを伴う事もあります。痛みは除々に増強し、その後、身体の左右どちらかに1本の神経に沿って赤いぶつぶつ(発疹)や小さい水ぶくれが帯状に出現するのが特徴です。帯状疱疹で最もやっかいな症状は「痛み」です。場合によっては衣類の脱着程度でもかなり激しい痛みを感じる人もいます。
2.治療薬について
ヘルペス、水痘・帯状疱疹の治療には、主に「抗ウイルス薬」と呼ばれる種類のお薬が使われます。抗ウイルス薬はウイルスが増えるのを抑えてくれるお薬です。抗ウイルス薬にはバラシクロビル・アシクロビル・ビダラビン等があり、飲み薬や塗り薬などさまざまな剤形があります。治療の際は効果と使いやすさを考えて症状に合った抗ウイルス薬を選択します。その他にも状況に応じて痛み止め、抗うつ薬(神経の痛みに効果がある場合が多いため)、ビタミン剤、抗生物質なども用いる場合があります。
一部症例では皮疹治癒後にも痛みが残存する場合があり(一般的に3ヶ月以上)、これを「帯状疱疹後神経痛」と言います。60歳以上の患者さんで多くみられ、初期重症な者ほど移行しやすいと言われているため、早い時期から抗ウイルス薬を投与することが重要です。ウイルスの増殖は72時間でピークに達するため、ウイルスが増殖しきらないうちに治療を開始しましょう。
| 薬品名 | 剤形 | ヘルペスに対する標準的な使用法 |
|---|---|---|
| バラシクロビル (VACA) バルトレックス® など |
錠剤・顆粒 | 1日1錠または顆粒1gを1日2回、5日間服用する |
| アシクロビル (ACV) ゾビラックス® など |
錠剤・顆粒 | 1日1錠または顆粒0.5gを1日5回、5日間服用する なお、年齢、症状により適宜増減する |
| 軟膏・クリーム | 幹部に適量を1日数回、塗布する | |
| ビタラビン (Ara-A) アラセナ-A® など |
軟膏・クリーム | 幹部に適量を1日1~4回、塗布または貼付するする |
※原則として発症から5日以内に使用を開始する
| 薬理作用 |
|---|
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アシクロビル(ACV)・バラシクロビル(VACA) ウイルス感染細胞内で活性化し、ウイルスDNA鎖の伸長を停止、ウイルスDNAの複製を阻害します。 |
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ビダラビン(Ara-A) ビダラビンの作用機序については未だ確立されていませんが、ウイルスのDNAを合成する酵素を強力に阻害することにより、抗ウイルス作用が発現すると推察されています。 |
最近はヘルペシア軟膏®やアクチビア軟膏®など口唇ヘルペスに効く市販薬のCMをみかけますが、使用時に注意してほしいことがあります。
この薬は、医師から口唇ヘルペスと診断されたことのある人が再発したときに使う薬です。
今まで口唇ヘルペスと診断されたことがない場合は、まずはきちんと医師の診察を受けましょう。
ヘルペスではない病気をヘルペスと思い込んでしまい、間違った治療を勝手に続けてしまう可能性があるからです。
以上で、今回の薬剤講座を終了します。
次回は、『糖尿病~序論とインスリン分泌促進薬~』について予定しています。
(参考・引用文献)
- 今日の治療薬 2010
- グラクソ・スミスクラインホームページ
- 日本皮膚科学会ホームページ