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転倒予防シリーズ⑦ 転倒予防に対する改善法~その1:ストレッチ~
今回からは転倒予防シリーズ。転倒予防に対する改善法を何回かに分けて紹介したいと思います。
- 高齢者の姿勢(歩行)の特徴
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◎体幹前傾(円背、猫背)
◎股関節屈曲・外旋(がに股)
◎膝間接屈曲
◎つま先の上がりが不十分
高齢者の方は上の様な姿勢をとりやすくなり、この様な姿勢では転倒しやすくなります。また、この様な姿勢を続けていると筋肉が短縮(縮んで)関節の動きが悪くなったりします。それを防ぐためにストレッチを行い、より良い姿勢を保持することが望ましいのです。より良い姿勢を保持するための一つの手段としてストレッチがあります。
- ストレッチの効果
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◎筋の柔軟性の改善
◎筋緊張の低下(リラクゼーション効果)
◎疼痛の軽減
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◎血液循環の改善
◎障害予防
◎競技的パフォーマンスの向上
- 今回紹介するストレッチをする筋肉
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・腸腰筋(足の付け根の筋肉)
・大体四頭筋(太ももの前の筋肉)
・ハムストリングス(太ももの後ろの筋肉)
・下腿三頭筋(ふくらはぎの筋肉)
今回は上で示したように4つの筋肉に対するストレッチ方法を紹介します。
ストレッチも一人で行うセルフストレッチと人にしてもらう他動的ストレッチがあります。
一人で行える方は一人で、一人で行うことが難しい方は他動的ストレッチをおすすめします。
腸腰筋(太ももを持ち上げる筋肉)
腸腰筋は足の付け根(股関節)の前面にある筋肉です。
セルフストレッチでは左の腸腰筋、他動的ストレッチでも左の腸腰筋のストレッチを行っている写真です。
セルフストレッチでは片膝立ちをした状態から前に出した足の方へゆっくりと体・体重を移動していきます。
他動的ストレッチでは反対側の足の付け根(股関節)を写真の様に曲げストレッチしたい方の足を下に押さえつけるようにします。
大腿四頭筋(膝を伸ばす筋肉)
大腿四頭筋は太ももの前面の筋肉です。
セルフストレッチは左の大腿四頭筋、他動的ストレッチは右の大腿四頭筋のストレッチを行っている写真です。
セルフストレッチでは膝を曲げ、ゆっくりと体を後ろに倒していくようにします。
他動的ストレッチでは膝を曲げる側の骨盤が浮かないように抑えながらゆっくりと膝を曲げていきます。
ハムストリングス(膝を曲げる筋肉)
ハムストリングスは太ももの裏にある筋肉です。
セルフストレッチでは右のハムストリングス、他動的ストレッチでは左のハムストリングスのストレッチを行っている写真です。
セルフストレッチでは反対側の足を写真の様に曲げてストレッチする方のつま先を掴むようにします。
他動的ストレッチはストレッチしたい方の足の膝を伸ばしたまま写真の様に足を持ち上げます。
この時反対側の足が浮いてくることがあるので浮かないように抑えるとより効果的です。
下腿三頭筋(背伸びをする筋肉)
下腿三頭筋とは一般的にふくらはぎと呼ばれる部分の筋肉です。
セルフストレッチでは左の下腿三頭筋、他動的ストレッチでは右の下腿三頭筋のストレッチの写真です。
セルフストレッチでは膝を伸ばした状態と膝を曲げた状態の二通りでアキレス腱を伸ばす様なイメージで行ってください。
他動的ストレッチでも膝を伸ばした状態と膝を曲げた状態の二通り行います。
他動的ストレッチでは踵を掴み前腕で体重をかけながらゆっくりと足首を上の方へ上げていきます。
- ストレッチ時の注意点
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- 息を止めない。
血圧の上昇を招いてしまう恐れがありますので、ゆっくり息を吐きながら行いましょう。難しければ一緒に数を数えてもらったりしましょう。 - 伸ばす力は痛みが出ない程度。
少し痛い~気持ちのいい程度のところで止めてストレッチを行いましょう。 - 伸ばす時間は10~20秒程度。
この3つに気を付けてストレッチを行ってください。
- 息を止めない。