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気管支喘息のお薬について

気管支喘息とは

  • 気道の炎症と気流制限により特徴づけられ、発作性の咳、喘鳴および呼吸困難を示す病気である (成人の場合)
  • 発作性の呼吸困難、喘鳴、咳などの気道閉塞による症状を繰り返す病気であり、その背景として多くは、気道の過敏性を伴う環境因子による慢性のアレルギー性炎症である (小児の場合)

と定義されています。

今回は、気管支喘息のお薬についてお話します。

1.気管支喘息の症状

発作性の呼吸困難が、夜間、特に深夜から早朝にかけて出現することが特徴で、ゼーゼー、ヒューヒューという喘鳴、痰、呼吸困難、胸部圧迫感など、息苦しくなる病気です。
原因として、アトピー素因などの遺伝的なもの、喫煙、ハウスダストなどが挙げられ、病状を悪くする原因としては、呼吸器感染や運動、ストレス、疲労などさまざまです。
また、症状によって重症度が違い、次のように分類されます。

表1.喘息の重症度

重症度 ステップ1
軽症簡潔型
ステップ2
軽症持続型
ステップ3
中等症持続型
ステップ4
重症持続型
喘息症状の特徴 頻度 週1回未満 週1回だが毎日ではない 毎日 毎日
強度 症状は軽度で短い 月1回以上
日常生活や睡眠が妨げられる
週1回以上
日常生活や睡眠が妨げられる
日常生活に制限
短時間作用性吸入β2刺激薬頓用がほとんど毎日必要 治療下でもしばしば増悪
夜間症状 月に2回未満 月に2回以上 週1回以上 しばしば

※いずれか1つが認められればそのステップと判断

喘息予防・管理ガイドライン2006より一部改変

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2.治療戦略

近年、気管支喘息の病態が気道の慢性炎症であるとわかってきたため、治療に関する考え方も変化してきました。
薬物療法の基本としては、

  • 抗炎症薬による気道の炎症の抑制
  • 気管支拡張薬による気道の狭窄の改善

などにより、症状をコントロールし、日常生活や肺の機能を維持することを目標とします。
喘息予防・管理ガイドラインにおいては、以下のような治療法が推奨されています。

表2.喘息の治療戦略

長期管理薬

●:運用
○:考慮
●吸入ステロイド薬(低用量)運用 ●吸入ステロイド薬(中用量)運用 ●吸入ステロイド薬(高用量)運用
○喘息症状がやや多いとき(例えば月に1~2回)、血中・喀痰中に好酸球増加のあるときは下記のいずれか1剤の投与を考慮
・吸入ステロイド薬(低用量)
・テオフィリン徐放製剤
・ロイコトリエン受容体拮抗薬
・DSCG
・抗アレルギー薬
●上記で不十分な場合は、下記のいずれか1剤を併用
・テオフィリン徐放製剤
・ロイコトリエン受容体拮抗薬
・長時間作用性β2刺激薬(吸入/貼付/経口)

○DSCGや抗アレルギー薬の併用可

●下記のいずれか1剤あるいは複数を併用
・テオフィリン徐放製剤
・ロイコトリエン受容体拮抗薬
・長時間作用性β2刺激薬(吸入/貼付/経口)

○Th2サイトカイン阻害薬の併用可

●下記の複数を併用
・テオフィリン徐放製剤
・ロイコトリエン受容体拮抗薬
・長時間作用性β2刺激薬(吸入/貼付/経口)

○DSCGや抗アレルギー薬の併用可

●上記の全てでも管理不良の場合
・経口ステロイド薬の追加
発作時 短時間作用性
吸入β2刺激薬
短時間作用性
吸入β2刺激薬
短時間作用性
吸入β2刺激薬
短時間作用性
吸入β2刺激薬

喘息予防・管理ガイドライン2006より一部改変

長期管理は、喘息の症状の有無にかかわらず、慢性の気道炎症を抑えることを主な目的として、治療に取り組みます。その中心となるのは吸入ステロイド薬であり、各段階で推奨されており、段階に応じて投与量の増減があります。

作時には短時間作用型の吸入β2刺激薬を頓用しますが、特に症状を悪くするような素因がない場合は頓用回数が減るように長期管理を行います。

発作時でも、日に3~4回必要な日が週3日以上ある場合は長期管理の段階をあげる必要があります。

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3.治療薬について

喘息のお薬には上記のガイドラインにもあるように、「長期管理薬」と「発作時」の 大きく2つに分かれています。

表3.治療薬

長期管理薬
吸入・経口
ステロイド薬
代表的な抗炎症薬。炎症を起こす細胞の活性化の制御や、気道の粘液分泌の抑制など、作用はさまざま。
吸入薬の方が、作用は局所に留まるため、副作用は少ない。
テオフィリン
徐放製剤
気管支の拡張に必要なcAMPの分解を抑制して、気管支拡張作用を示す。
また、徐放製剤は、薬の血液中の濃度を長時間一定に保つように工夫されているため、喘息症状の予防を目的としている。
ロイコトリエン
受容体拮抗薬
抗アレルギー薬のひとつ。
ロイコトリエンという化学伝達物質の結合する部分に選択的に結合し、気管支の収縮や腫れを抑制し、症状や肺機能を改善する。
DSCG クロモグリク酸ナトリウムの略称。こちらも抗アレルギー薬のひとつ。
マスト細胞からのアレルギー反応の化学伝達物質の遊離を抑制する。
抗アレルギー薬 ここでは、メディエーター遊離抑制薬、ヒスタミンH1拮抗薬、トロンボキサンA2阻害薬、Th2サイトカイン阻害薬を指す。これらは、アレルギー反応の科学伝達物質の遊離や受容体への結合を阻止し、アレルギー症状を抑えます。
発作時
β2刺激薬 気管支に存在するβ2受容体を刺激することにより、気管支拡張作用を示す。
β2刺激薬には気道の炎症を改善する作用はないので、抗炎症作用のある薬剤が併用されることもある。

以上のように、気管支喘息は長い期間付合っていかなければならない病気です。 重症の発作が起こってしまうと、場合によっては死に至ってしまうこともあるため、とても危険な病気でもあります。 特に長期管理薬は、発作を予防するお薬であるため、症状が良くなってきたからといって服用を勝手にやめず、医師の指導の下、きちんと服用することが大切です。

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以上で、今回の薬剤講座を終了します。

次回は、『インフルエンザ』について予定しています。

(参考・引用文献)

  • 喘息予防・管理ガイドライン2006
  • 今日の治療薬 2008
  • 最新臨床治療薬 2009
  • 日本医師会ホームページ