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転倒予防シリーズ③ 転倒に関する要因~その3:認知面~
今回は認知面についてですが、認知機能の低下は、『転倒・転落事故のリスクの1つ』と言われています。
認知症の方が必ずしも転倒するとは限りませんが、認知症のことと少し絡めながら勉強していきましょう。1) 2)
認知とは、
人が毎日の生活を送っていく上で重要な役割を担っており、人が外界の事物を知覚・記憶した上で、それが何であるかを判断したり解釈する過程のことをいいます。4)
例えば 階段を上るという動作において・・・
認知症の場合は症状は多種多様ですが、その中でも転倒のリスク因子となりうる症状についてお話していきます。
認知機能障害3) 4)
- ☆転倒状況を例に挙げてみましょう。(例)
-
- 記憶障害の場合、以前に転倒した状況・環境を忘れてしまい転倒を繰り返す。
- 失認の場合、歩行中に障害物があるにも関らず、認識できずにぶつかり転倒する。
- 注意障害の場合、ぼーっとしており周囲への注意が向けられず、障害物に気付かずに転倒してしまう。
- 失行の場合、慣れた環境であれば動作が安全に行う事が出来るが、環境が異なることにより混乱してしまい動作が適切に遂行されずに転倒する。
特に認知症の場合、運動機能の低下により歩行スピードの低下、注意を伴った情報処理能力の障害により、転倒のリスクは高くなります。
以上で、今回のリハビリテーション講座を終了します。
次回は、『転倒予防シリーズ④転倒に関する要因~その4:環境~』を紹介する予定です。
(参考・引用文献)
- 1)眞野行夫、中根理江:特集転倒しやすい患者のリハビリテーション 高齢者の歩行障害と転倒要因、臨床リハ Vol.7 NO.3 1998 3、p243~247
- 2)泉キヨ子編集:エビデンスに基づく転倒・転落予防、p10~11、中山書店、2005
- 3)石合純夫:高次脳機能障害学、p184~222、医歯薬出版株式会社、2007
- 4)古川宏編集:図解作業療法技術ガイド第2版、p405~420、文光堂