β溶血レンサ球菌
β溶血レンサ球菌は、血清学的分類により現在までA~V(I,Jを除く)の20群に分類されています。中でもヒトの感染症と関係が深く、臨床的に重要な菌種としては、A群とB群のβ溶血レンサ球菌があげられます。
検査は一般に、検体を血液寒天培地にて培養し、発育したコロニーのグラム染色鏡検や、溶血の様子、血清学的分類により菌の同定をすることができます。
血清学的分類とは
レンサ球菌の細胞壁には群特異性の細胞壁多糖体(C-polysaccharide、C多糖体)があります。
これは、Lancefieldにより発見されたもので、Lancefieldの群抗原とも呼ばれています。
これをウサギに免疫して得た抗血清により沈降反応を行い、レンサ球菌を群別分類することができます。
- 【形態・性状】
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- グラム陽性球菌
- 球形または卵円形
- 臨床材料のグラム染色では、連鎖状、単在、双球菌状の形態
- 非運動性
- カタラーゼ陰性
- 血液寒天培地で、コロニーの周りにβ溶血がみられる
→ 赤血球を完全に溶血し、その結果透明にみえる - A群連鎖球菌では小さなコロニーの周りに大きなβ溶血を形成
- B群連鎖球菌ではA群よりも大きなコロニーで溶血性は弱い

Streptococcus agalactiaeのグラム染色
- 【培養】
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- 血液寒天培地にて分離培養
- 37℃、18~24時間培養
- 好気性、嫌気性いずれの環境でも発育可能


A群β溶血連鎖球菌(Streptococcus pyogenes)…化膿連鎖球菌
- 【感染】
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飛沫感染や、接触感染により感染します。
- 【病原性】
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化膿性炎症を起こす代表的な菌種であり、膿痂疹、咽頭炎、扁桃炎、猩紅熱、敗血症などを起こします。
またこの菌の感染後に、急性糸球体腎炎やリウマチ熱の合併症を起こすことがあります。
- 【検体】
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病気の種類によって咽頭のぬぐい液や、膿や病変部分のサンプル、喀痰、血液、脊髄液などを検査材料として用います。
- 【治療薬】
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ペニシリンGに対する耐性を持っていないので、ペニシリンGが選択薬として利用されます。感染そのものは、抗生剤の服用によりすぐに治ります。しかし、急性糸球体腎炎やリウマチ熱などの合併症を防ぐために10~14日間、医師の指導に従い服用を続けることが大切です。
- 【予防】
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ワクチンはなく、手洗いうがいによる予防が大切です。
B群β溶血連鎖球菌(Streptococcus agalactiae)
- 【感染】
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腸内の常在菌であり、女性の膣や子宮頚管部、男性では尿道粘膜に存在することもあり、性感染症の原因菌の一種です。女性では産道感染による新生児への感染が問題となります。
- 【病原性】
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成人では症状がなければ問題ありませんが、抵抗力の低下などにより病原性を示すことがあり、免疫不全患者では敗血症や肺炎の原因にもなります。新生児では髄膜炎や菌血症を起こし、高い死亡率を示します。また、出産後の女性の子宮内膜炎の原因にもなります。
- 【検体】
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血液、子宮頚管ぬぐい液、喀痰、脊髄液などを検体として用います。
- 【治療薬】
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ペニシリンG、アンピシリン、アミノグリコシドなどを選択薬として利用します。
- 【予防】
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常在菌の一種なので症状がなければ問題ありませんが、抵抗力が落ちないように規則正しい生活をすることが大切です。
また、妊婦ではあらかじめ検査をし、膣内に感染がある場合には出産までに治療をしたり、お産のとき予防的に抗生物質を点滴することなどにより新生児への感染を予防します。
(参考・引用文献)
- 微生物学/臨床微生物学(医歯薬出版)
- イラストレイテッド微生物学(丸善株式会社)