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痛風・高尿酸血症のお薬

日本では1960年以前、痛風は稀な疾病でした。しかしそれ以降、食生活の欧米化やアルコール摂取量の増加などに伴い、年を追って急増し、現在の患者数は推定30~60万人、そしてなお増え続けているものと考えられています。痛風の基礎疾患である高尿酸血症も増加傾向にあります。さらに、かつて50歳代であった痛風発作発症年齢の若年化も認められ、30歳代にピークが移ってきています。

今回は、痛風・高尿酸血症に関する治療薬についてお話します。

1.高尿酸血症の定義と痛風の診断

性・年齢を問わず、血漿中の尿酸溶解濃度である7.0mg/dLを正常上限とし、これを超えるものを高尿酸血症と定義します。

痛風は、高尿酸血症が持続した結果として関節内に析出した尿酸塩が起こす結晶誘発性関節炎であり、高尿酸血症と同義ではありません。
痛風関節炎の発症は、以前から高尿酸血症を指摘されている患者の第一中足趾節関節または足関節周囲に発赤、腫脹を伴う急性関節炎が出現した場合に診断します。

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2.治療目的

高尿酸血症・痛風の治療目的は、痛風関節炎の発症を防ぐことです。
この点については、血清尿酸値を4.6~6.6mg/dLにコントロールしたときが最も発症率が低いという成績があります。
尿酸沈着による併発症である腎障害(痛風腎)や尿路結石を発症・進展させないことはさらに重要です。
また、高尿酸血症・痛風には高脂血症、高血圧、糖耐能異常、肥満などの生活習慣病が高率に合併することが知られていて、このような合併症が虚血性心疾患や脳血管障害の発症率を高くしているのではないかと言われています。
これらの点を踏まえて、血清尿酸値を6.0mg/dL以下にコントロールすることが望ましいとされています。

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3.痛風関節炎の治療

痛風関節炎は一般に疼痛が激しく、短期間ではありますが、患者のQOLを著しく低下させます。治療手段としては、コルヒチン、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)、ステロイド薬の3つのうちから選択します。

(1)コルヒチン
痛風発作の前兆期にコルヒチンを1錠(0.5mg)だけ用いて発作を鎮挫させます。
(2)非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)

非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)は、急性炎症である痛風関節炎治療薬の中心的薬剤です。痛風発作の極期には、短期間だけ比較的大量に投与することが原則となっています(NSAIDsパルス療法)。軽快すれば中止します。

また、激痛が軽減した後も関節炎が持続し、日常生活に支障をきたす場合はNSAIDsを常用量投与します。この場合も軽快すれば中止します。

(3)ステロイド
NSAIDsが使えない場合、投与が無効だった場合、多発性に関節炎を生じている場合などには、経口でステロイドを投与します。

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4.高尿酸血症に対する治療

尿酸降下薬は、作用機序の違いによって、尿酸排泄促進薬と尿酸生成抑制薬に分類されます。

(1)尿酸排泄促進薬
尿酸排泄促進薬は、尿細管における尿酸の生理的再吸収を抑制することによって腎からの尿酸排泄能力を高め、血清尿酸値を低下させます。
(2)尿酸生成抑制薬

尿酸生成抑制薬として使用できる薬剤は、アロプリノールだけです。血清尿酸値の低下とともに、尿中の尿酸排泄量も減少させる働きがあります。
ただし、腎不全の患者に過剰投与すると中毒症状を起こすことがあり、腎障害の程度に合わせた投与量の調節が推奨されています。

《尿酸降下薬の選択》

尿酸排泄低下型に尿酸排泄促進薬、尿酸産生過剰型に尿酸生成抑制薬(アロプリノール)を選択することが基本原則です。
副作用などの理由によって使用できない場合には、基本原則を外れた薬剤の使用をすることがあります。
ただし、病型に沿わない薬剤の使用時には特に副作用の発現に注意し、使用量を出来る限り少量から開始して、定期的に血液・尿検査を行う必要があります。

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以上のように、高尿酸血症・痛風の治療は、血清尿酸値をコントロールする必要があります。医師の指導の下、正しい用法・用量でご使用ください。

これで今回の「薬剤講座」を終了します。

(参考・引用文献)

  • 高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン
  • 今日の治療薬2008 編集:水島 裕

次回は、てんかんのお薬について予定しています。