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ADLの介助の仕方6~更衣について(1)~

今回は、「更衣(着替え)の介助」について紹介していきます。
前半は上着の更衣について、後半はズボンの更衣について紹介します。
更衣のポイントについて説明します。

では、片マヒ者の上着の着脱について説明します。座位で行う一般的な更衣の方法について紹介します。座位で行う場合は、座位のバランスが安定していることが条件となります。

まずは、かぶりシャツの着脱の方法についてです。

かぶりシャツの着かた(右片マヒの場合)

  1. 衣服の背中の部分が上、襟部分が膝の上になるように広げる。
  2. よい方の手で袖部分を手繰り寄せ、マヒ側の手に袖を通す。
  3. よい方の手を袖に通し、肘上まで引き上げる。
  4. マヒ側の衣服の袖部分を肩まで引き上げる。
  5. 後ろ身頃と襟を束ねてよい方の手で握り、頭を通す。
  6. 上着の裾を引き下げ、全体を整える。

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かぶりシャツの脱ぎ方(右片マヒの場合)

  1. よい方の手で後ろ身頃をたくし上げる。
  2. 後ろ身頃を握ったまま、前方に引き頭を抜く。
  3. よい方の袖を抜く(抜き難い場合は袖を口にくわえる、またはお尻で押さえると脱ぎやすい)
  4. よい方の手でマヒ側の袖を引き、服を脱ぐ。

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続いて、前開きシャツの着脱は以下の通りです。

前開きシャツの着かた(右片マヒの場合)

  1. 上着の背中が上になるように広げる。
  2. よい方の手でマヒ側の袖を通し、肩部分まで引き上げる。
  3. 後頭より、よい方の手で上着の襟を持ち、後ろ身頃を背中へかける。
  4. よい方の袖に腕を通す。
  5. 裾を引っ張り、襟を正して上着を整える。
止め具の操作が難しい場合
止め具類には工夫をすると操作しやすくなります。
★ボタンを大きめにする
★ファスナーの取っ手にリング・紐をつける
衣服の左右前後の判別が難しい場合

右前後の判別が難しい場合は目印を付けると分かりやすくなります。止め具類には工夫をすると操作しやすくなります。

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前開きシャツの脱ぎ方

  1. ボタンをはずし、よい方の袖から腕を抜く(抜き難い場合は袖を口にくわえる、または袖をお尻で押さえると脱ぎやすい)
  2. よい方の上着を肩からはずす。
  3. よい方の脱いだ上着をマヒ側へ回す。
  4. よい方の手でマヒ側の袖を引き、上着を脱ぐ。

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以上で、今回のリハビリテーション講座を終わります。

次回は『~更衣について②~』を紹介する予定です。

(参考・引用文献)

  • 一般社団法人日本作業療法士協会監修:作業療法全書第10巻作業療法技術論2「日常生活活動」,㈱共同医書出版社,2005,p191-192.
  • 一般社団法人日本作業療法士協会監修:作業療法全書第4巻作業治療学1「身体障害」,㈱共同医書出版社,2002,p87.
  • 土屋弘吉,今田拓,大川嗣雄:日常生活活動(動作)—評価と訓練の実際—,医歯薬出版株式会社,2003,p162-164.
  • 主婦と生活社:大活字版絵で見る介護,㈱主婦と生活社,2000,p40‐41..