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甲状腺系機能検査

1)どういう時に検査するか

甲状腺機能異常(甲状腺機能亢進症状や甲状腺機能低下症状)が疑われる時、甲状腺腫大がある場合や眼球突出が認められる場合に検査を行う。

甲状腺機能亢進症
動悸、手指振戦、体重減少、発汗過多、落ち着きのなさ、目つきの鋭さ、下痢

甲状腺機能低下症
無気力、昜疲労感、眼瞼浮腫、寒がり、体重増加、動作緩慢、咾眠、記憶力低下、便秘、嗄声などの多彩な臨床症状を表す

A》甲状腺刺激ホルモン(TSH)


TSHは、甲状腺ホルモンの分泌を調節する下垂体ホルモンで、下垂体前葉の好塩基性細胞で産生される。TSHの分泌は、さらに上位の視床下部からのTRHにより調節されている。

TRH−TSH−甲状腺ホルモン系はnegative-feedback機構によって極めて巧妙に調整され、甲状腺機能の恒常性が保たれている。

B》甲状腺ホルモン

サイロキシン(T4)トリヨードサイロニン(T3)

血中T3濃度はT4の1~2%程度であるが、T3はT4の5~8倍の生物活性を持つ。
T3の約70~80%は肝臓、腎臓などの抹消組織においてT4からT3への脱ヨード反応によって生成され(1日の産生量25~30μg)、甲状腺からのT3分泌は約20~30%である。
T3は甲状腺機能の指標であり、T4の抹消代謝状態を反映する指標でもある。

甲状腺ホルモンの生合成・分泌過程では、食事中の無機ヨードが腸管から吸収され甲状腺濾胞細胞に能動的に取り込まれる。
無機ヨードはペルオキシダーゼの作用でI2となり、サイログロブリンのチロシン残基と結合する。
ヨードの有機化によって3−モノヨードチロシン基(MIT基)3、5−ジヨードチロシン基(DIT基)が生成される。

T4~DIT基同士の縮合

T3~MIT基とDIT基同士の縮合

によって生成され、甲状腺濾胞内にコロイドとして貯蔵される。
T4,T3の分泌過程では、サイログロブリンがリソソームで加水分解され、必要に応じて血中に分泌され、遊離サイロキシン(FT4)遊離トリヨードサイロニン(FT3)も血中に放出される。

遊離サイロキシン(FT4) 遊離トリヨードサイロニン(FT3)

FT4はT4のうち甲状腺ホルモン結合蛋白(TBG)などに結合せず血中に遊離型として存在し、総T4量の約0.03%である。FT4は抹消組織で脱ヨード酵素の作用でヨードが1つはずされT3に変換され甲状腺ホルモンとして生物学的作用を発揮する。

FT3は甲状腺ホルモン作用を発揮する活性型ホルモンで、総T3の約0.3%の量である。

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2)TSH FT4 FT3による検査の進めかた

甲状腺機能異常(甲状腺機能亢進症状や甲状腺機能低下症状)が疑われる時、甲状腺腫大がある場合や眼球突出が認められる場合に検査を行う。

TSH FT4 FT3による検査の進めかた(表1)

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3)検査の目的

甲状腺疾患が疑われる場合には機能検査、免疫検査、画像検査などが実施されるが機能検査では第一にTSH次にFT4 FT3 の順で選択する。

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(参考・引用文献)

  • 臨床検査ガイド2005~2006  Medical Practice編集委員会編 文光堂
  • 臨床検査項辞典    医歯薬出版株式会社
  • 臨床検査法提要 改訂32版  金原出版株式会社