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ADLの介助の仕方5~整容について~

今回は、「整容の介助」について紹介していきます。

まずは、整容を行う場所についてのポイントです。
洗面動作は移動が可能であれば洗面台で行いましょう。
座位が安定している場合または移動が難しい場合は、ベッド端、あるいは車いすに腰かけて行ないましょう。

整容は食事と同様に難易度が低く、座位であっても比較的取り組みやすい動作です。出来る事は本人に促し、難しい部分を介助すると良いでしょう。

では、各項目ごとに動作の要点を説明します。

今回は日常生活において行う頻度の高い、・洗顔・手洗い・歯磨き・ひげ剃り・爪きり・整髪について紹介します。脳血管障害によるマヒが重度で片手動作となる場合は自助具などを利用すると容易になる事もあります。

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洗顔

洗面所までの移動が難しい場合は、テーブルの上に大きめの洗面器を用意し行うと良いでしょう。片手で水をすくい難い場合は、タオルを濡らして拭きとることもできます。

濡れタオルの絞り方(左片マヒの場合)


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手洗い

関節の拘縮やマヒで指が握り込んでいる場合、不潔になりやすく、感染の病気を起こしやすくなります。マヒ側の指もゆっくりと開いて洗浄し、手の清潔を保ちましょう。

よい方の手を洗うには、網袋に入れた石鹸を使用したり、吸盤付きのブラシを用意しておくと便利でしょう。

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歯磨き

利き手がマヒ側のため、道具の操作が難しい場合は電動式の歯ブラシを使う場合もあります。今回は、一般的な歯磨きの方法について紹介します。

歯磨きの方法(片マヒの場合)
  1. 歯磨き粉を歯ブラシに付ける
    歯ブラシを机上または洗面台に置き、その上にチューブから歯磨き粉を絞り出す。
  2. 歯を磨く
    顔面神経マヒがある場合、マヒ側に食物が残りやすいので特に注意が必要。磨きが不十分である場合は対象者の動きに合わせて誘導または介助する。
  3. ゆすぐ
    2と同様にゆすぎ残りが無いように注意が必要。吐き出しが行ないやすいように、前傾姿勢の声掛けや介助をする。

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ひげ剃り

利き手がマヒ側のため、道具の操作が難しい場合は電動髭剃りを使うと容易となります。顔面神経麻痺の場合は剃り残しが出現しやすくなります。剃り残しの確認は鏡や指先を使って確認を行い、介助する際は声掛けや誘導介助を行うと良いでしょう。

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爪きり

マヒが重度の場合、よい方の手の爪きりは難しくなります。爪きりを使いやすいよう、柄を大きく工夫する又は柄に板を取り付けた台つき爪きり(自助具)を使用すれば、よい方の爪を切る事が可能な場合もあります。

※注意※
関節の拘縮やマヒで指が握り込んでいる場合、爪切は難易度が高くなります。また、感覚障害がある場合、切り過ぎる危険性もあるので、手伝ってもらうと良いでしょう。

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整髪

髪が長いく手が届かない場合は柄の長いブラシを使用すると良いでしょう。
それでは自助具について紹介します。

自助具 特徴 対象
片マヒ者のよい方の指・爪先の洗浄が容易になる 片手使用者の場合
爪切りが固定されているので、レバーを押すだけで爪を切る事ができる 片マヒ者
リウマチ
頚髄損傷
柄が長く距離的問題を解消でき、柄のカーブも調整が可能 通常のブラシが使用困難な場合

腕が上がり難い・痛いなど、関節の動きに制限がある場合

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以上で、今回のリハビリテーション講座を終わります。

次回は、血栓症のお薬~血栓溶解薬~について予定しています。

(参考・引用文献)

  • 一般社団法人日本作業療法士協会監修:作業療法全書第10巻作業療法技術論2「日常生活活動」,㈱共同医書出版社,2005,p14.30.191.
  • 野尻晋一:リハビリテーションからみた介護技術,中央法規出版株式会社,2006,p138‐144
  • 土屋弘吉,今田拓,大川嗣雄:日常生活活動(動作)—評価と訓練の実際—,医歯薬出版株式会社,2003,p49.62.63.99.164.165.
  • 主婦と生活社:大活字版絵で見る介護,㈱主婦と生活社,2000,p58‐62.