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ADLの介助の仕方4~排泄について~
今回は、「排泄の介助」について紹介します。
まずは、排泄の介助を行うにあたり“介助のめやす”について紹介します。
尿意・便意がない、または分からない場合
- 夜間はオムツの使用
- 昼間はリハビリパンツなどを利用し、時間をみてできるだけ尿器やトイレ(移動が可能であれば)を使うと良いでしょう。
右マヒの場合
- 車いすを便器の斜前方から近づける。このとき、良い方が便器側に来るように車いすをつける。
- お尻を前方にずらしたら、L字手すりの縦部分を握る。
- お辞儀をするように体を前傾して立ち上がる。
- 良い方の足を軸に体を回転させ、衣類を下げる。
※衣類の上げ下げについては以下で説明します。 - お辞儀をするように体を前傾して便器に腰掛ける。
※車いすに戻る際は上記の方法を逆の順番で行ないます。
続いて、衣類の下げ方は以下の通りです。
立位保持ができる場合
良い方の壁またはL字手すりの縦部分によりかかり、良い方の手で左右交互に衣類を下ろします。
※この時、両足の間隔を広げると立位が安定します。
衣類をはく際は、脱ぐ場合と逆の順番で衣類を上げてください。
次に、排泄の介助方法について説明します。
- 良い方が便器側に来るように車いすをつけ、介助者はマヒ側に立つ。
- 介助者は対象者のマヒ側のわきと腰部を支え、お尻を前に移動させます。
- わきとズボンを支えたまま、対象者の立ち上がりを介助します。
- 対象者の立位がとれたら便器の方にお尻を回します。
- 介助者は対象者の上体を支えたまま、ズボンを下ろします。
- お辞儀をするように体を前傾して腰をおろす。
- 介助者は上体と殿部を支えながら便器に対象者を座らせる。
なお、車いすに戻る際は逆の順番で行います。
トイレは各家庭により、造りや様式は様々です。
最後に、片マヒ者の使いやすいトイレについて紹介します。
トイレについて
体格や体の具合により、手すりの取り付け位置は多少異な る場合があります。
改修工事(リフォーム)については、リハビリスタッフや住宅改修を取り扱う専門業者への相談をお勧めします。
以上で、今回のリハビリテーション講座を終わります。
次回は『整容について~』を紹介する予定です。
(参考・引用文献)
- 一般社団法人日本作業療法士協会監修:作業療法全書第10巻作業療法技術論2「日常生活活動」,㈱共同医書出版社,2005,p189.190.
- 野尻晋一:リハビリテーションからみた介護技術,中央法規出版株式会社,2006,p138‐144
- 土屋弘吉,今田拓,大川嗣雄:日常生活活動(動作)—評価と訓練の実際—,医歯薬出版株式会社,2003,p159.160.
- 主婦と生活社:大活字版絵で見る介護,㈱主婦と生活社,2000,p26‐36