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腎臓・尿管・膀胱・(男性)生殖器などの病気(泌尿器系)について

はじめに

今日、高齢化社会を迎えるとともに多くの人々が、1日でも多く、元気でありたいと考えることは、誰もが思う普遍的な願いであり、また、そのサポートとして「医療」に課せられた責任も様変わりしてきました。つまり、今までは「年だから…」「恥かしいから…」などと、受診をためらわせていた症状(例えば「おしっこが出にくい」などの排尿障害、他、尿失禁など)も当然ながら治療の対象であり、それらを改善することによって「生活の質」向上を身近に感じることが容易となってきました。
一方、医療技術の進歩に伴い、病気の早期発見の機会が多くなり、早期治療は勿論のこと、治療の選択に至っても(治療を受ける側の意見も考慮した上で)、ある程度、幅が持てるようになってきました。以上の事柄は、特定の診療科に限らず、今や、どの診療科においても念頭に置かねばならないこと、となってはいますが、泌尿器科分野(腎臓、尿管、膀胱、(男性)生殖器など)の病気においても、これらの内容を踏まえた対応が不可欠であるといえます。
それでは、以下に泌尿器系の主な病気について(症状や治療法を中心に)述べていきます。

尿検査異常

尿潜血、(血尿)

腎臓あるいは腎臓以下の尿管、膀胱、尿道からの出血により尿中に血液成分である赤血球が排泄されたときに(尿検査にて)認められる陽性反応をさします。

主な考えられる病気

泌尿器科的疾患 : 前立腺肥大症、尿路結石症、尿路感染症、膀胱腫瘍など

内科的疾患 : 慢性糸球体腎炎、急性糸球体腎炎、ループス腎炎、家族性良性血尿など

※尿潜血と血尿の区別について両者の違いは肉眼的に血尿を確認し得るか否か。つまり、尿中に多量の赤血球が排出された場合、(少量の場合は、尿は無色透明であり、赤血球の混在は顕微鏡検査でないと分からない。)字の如く、"血尿"と使い分けています。

尿蛋白

腎臓内で血液が濾過される場所である糸球体が障害されると尿中へ蛋白が排泄され、尿蛋白として認識されます。

主な考えられる病気

内科的疾患 : 慢性糸球体腎炎、糖尿病性腎症、高血圧性腎症、良性蛋白尿など

尿糖

健常者では糸球体で濾過された糖は尿細管(糸球体より続く管)で再吸収されるため、尿糖は陰性ですが、血糖値が160~180mg/dl以上に達した場合、糸球体で濾過された糖は尿細管での再吸収閾値を超えるため尿に糖が出現します。

主な考えられる病気

内科的疾患 : 糖尿病、胃切除後、甲状腺機能亢進症

膿尿(尿混濁)

尿中に白血球が混入している状態で、尿路、生殖系に感染が存在することを示します。多くは黄白色の外観を呈します。

主な考えられる病気

内科的疾患 : 腎臓・尿路の感染症(腎盂腎炎、膀胱炎、前立腺炎など)

尿路の感染症

膀胱炎

大腸菌などの細菌の感染による尿道経由の炎症が大半。成人女性に多い。便秘、妊娠、月経、性交が原因となることがあります。

  • 症状 : 排尿痛、頻尿、膿尿、血尿、発熱(-)
  • 治療・対策 : 水分摂取、利尿促進、適切な抗生剤の投与
腎盂腎炎

膀胱炎からの波及が多い。女性が圧倒的に多い。

  • 症状 : 高熱、悪寒、嘔気、全身倦怠感、腎部痛、膿尿
  • 治療・対策 : 安静、水分補給、適切な抗生剤の投与

性行為感染症

性交に関連し、病原体によって独特の症状を呈します。

急性尿道炎

淋菌性尿道炎
  • 原因菌 : 淋菌
  • 症状 : 潜伏期2~10日。排尿痛、尿道口からの膿汁分泌、頻尿。
  • 治療 : ペニシリン系、アミノグリコシド系抗生物質の投与
非淋菌性尿道炎
  • 原因菌 : 最多はクラミジア
  • 症状 : 潜伏期14~21日。症状は軽度。
  • 治療 : テトラサイクリン系抗生物質の投与

尿路結石症

尿路(腎臓、尿管、膀胱、尿道)に結石が存在する病気。20歳代後半以降の発症が多い。
近年、増加傾向にあり、今や10人に1人が一生に一度は経験する生活習慣病の1つ。また、非常に再発しやすく、5年間で約半数の人が再発します。
(結石の主な成分:カルシウム、シュウ酸、尿酸、リン酸)

  • 症状 : 疼痛、血尿、結石の排出
  • 治療
    • 内科的治療(小結石の場合) : 利尿促進、運動。尿酸結石の場合、尿酸生成抑制薬の投与など。
    • 外科的治療 : 体外衝撃波砕石術が今日の主流で、これで砕石が困難な場合、次なる外科的治療に移行します。
体外衝撃波砕石術
超音波で発生させた衝撃波の焦点を結石に合わせて結石を砕き、尿と共に排出させます。手術、麻酔の必要はありません。
経尿道的尿管結石摘出術
尿道、膀胱を通じて尿管内に内視鏡を挿入、内視鏡で見ながら結石を砕きます。
経皮的腎結石摘出術
皮膚から腎臓まで通路を作り、この通路を通じて内視鏡を腎臓内に挿入。そして腎結石を砕きます。

前立腺の病気

前立腺は男性に特有の臓器で、普通はくるみ程度の大きさです。膀胱の底部に接する形で存在し、その中に尿道が通っています。ここで精液の一部を作り、精子を活性化します。
以下に、主な前立腺の病気を挙げます。

前立腺炎

一般細菌による(大腸菌が最多)前立腺の炎症

症状

急性症 : 悪寒、戦慄、高熱、膿尿
慢性症 : 全身症状は弱い。この中には非細菌性のものが多く含まれ、不定愁訴(会陰、鼠径、大腿、下腹部の鈍痛や不快感)を自覚症状とする場合が多いです。

治療・対策

急性症 : 絶対安静、化学療法
慢性症 : 化学療法など

前立腺肥大症

加齢により、前立腺が徐々に肥大してくると、その中を通る尿道が圧迫を受け、「尿の出が悪い」「トイレが近い」といった 症状(排尿障害)を呈してきます。

症状

尿勢低下、頻尿(および夜間頻尿)、残尿感など

治療

内科的治療 : 絶薬物療法。症状が軽度の場合、対象となります。
外科的治療 : 内視鏡手術(経尿道的前立腺切除術)が一般的。通常、薬物療法で症状の改善があまり見られない場合、または症状が重度の場合、行なわれます。

前立腺癌

国内において発症数 13,000/年。死亡数 6,000/年。10年後には、さらに倍増すると言われています。その増加の要因として、食事の欧米化や高齢化が挙げられます。

症状

一般に無症状で経過し、かなりの進行状態でないと症状(身しぼり感、夜間頻尿)が出現しません。

診断

血液検査(前立腺腫瘍マーカー値の測定)、前立腺針生検。他、直腸診で前立腺を硬く触れる。

治療

手術療法 : 腫瘍が前立腺に限局する場合に手術の適応となります。
内分泌療法 : 前立腺癌を増殖させる男性ホルモンを何らかの形でブロックします。
(1)精巣摘除術(去勢術): 両側の精巣を外科的に摘除する方法
(2)薬物療法
(3)放射線療法

尿失禁

不随意に尿が排出し、生活に支障をきたすもの。

腹圧生尿失禁

最も多いタイプ。骨盤底筋群の脆弱化に伴い、膀胱、尿道の下垂が起こり、腹圧をかけると、容易に尿失禁を来たしやすい。正常分娩後の成人女性が殆どです。

治療

軽症 : 骨盤底筋体操
重症 : 手術療法

切迫性尿失禁

尿充満時、膀胱が不随意に収縮し、失禁を来す。脳、脊髄の病気が関与。

治療

薬物療法

機能性尿失禁

老人性痴呆などで排尿に関する知的能力、運動能力の低下による失禁。

対策

老人性痴呆の場合、オムツ着用で対処することが多い。

(腎盂・尿管・膀胱)腫瘍

尿路上皮(腎臓、尿管、膀胱内の尿の接する場所、即ち、内腔面)の粘膜から生じる腫瘍。

症状

無症候性血尿、側服部痛(腫瘍により、尿管が閉塞の場合)

治療

手術療法、化学療法

腎癌

腎組織由来の腫瘍。40~70歳に多い。超音波やCTの発達、普及により、無症状、小サイズで見つかるケースが増えています。

症状

血尿、腹部腫瘤、側服部痛

治療

手術療法、免疫療法

さいごに

泌尿器科領域における、代表的な病気を駆け足でお伝えして来ました。
実際、泌尿器科を訪れる方は上記、病気(症状)のケースが殆どと考えますが、それ以外の方、また、泌尿器科を訪れたことがない方であっても(紙面の都合で詳しく説明できませんでしたが)精密検査を必要とし、定期検査や治療の対象である方が相当、いらっしゃると考えます。
実際、そのような方は、(序文でもお伝えしましたが)受診をためらわれている方が多く、その裏付けとして、治療を受けられた方で「こんなに良くなるんだったら、早めに来るべきだった。」という声をよく耳にします。
我々、泌尿器科医は、病気でお悩みな方は勿論、高齢な方であっても、前向きな生活を望まれる方を温かく迎える準備は、常に万全です。
心当たりのあられる方は、最寄の泌尿器科に足を運ばれ、一度、ご相談されることをお勧めします。

引用・参考文献
  • 野口純男 チャート泌尿器科 改訂第2版 医学評論社 2001年
  • LAB DATA 臨床検査 データブック 2001-2002 医学書院 2001年
  • 伊藤晴夫 前立腺癌のすべて メジカルビュー社 1999年

詳しいことは下記の病院にお問い合わせ下さい。

社団法人八日会 藤元早鈴病院 医療相談室
〒885-0055 宮崎県都城市早鈴町17-1
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