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アルコール依存症からの回復

回復とはアルコールとの関係を断ちながら、自分自身および他者との新たな関係を築いていくことや、より健康なパーソナリティになっていくことです。

回復の条件と回復過程

病気を受け入れる

アルコール依存症であることを認めることです。
病気を受け入れることをしないで「我慢の断酒」をしているうちは、早いうちに飲酒が再開されます。

病気の性質について学ぶ

価値観が逆転する

家族と過ごす楽しみより飲むことが優先します。
自分にとって大切な人の忠告よりも一杯の酒に引きつけられて、将来の夢を描くより今日どうやって飲むかということが大事になってきます。
自分では意識しないうちに、本来は人が生きる上で大切にすべきものがあなたの中で価値を失い、やがては酒がすべてに優先するようになっていき、「自分の金で飲んで身体をこわして何が悪い」「飲んで死ねれば本望だ」と言ったりします。

感情がそこなわれる

自然な感情が姿を消していきます。
喜びや楽しみを生き生きと感じることがなくなり、悲しみや怒りはお酒で紛らわしたり酒のちからを借りて爆発させたりするようになります。
不安を表現する変わりに怒鳴ってしまったり、すまない気持ちをだすことができなくなり、なるべく平気なふりを装い、つらい気持ちを感じないよう自分の感情を麻痺させながら飲み続けます。

判断力がそこなわれる

こうしてアルコールが生活の中心になってくると、心のどこかで「このままではまずい」と感じながらも、軌道修正が困難になり、健康な判断力が働かなくなる。
飲んでいけない時にもつい飲んでしまう、飲酒について注意されたことに反発して大事な人間関係を壊してしまう、仕事の約束をすっぽかす、手をつけてはいけない金で飲んでしまう、家族に内緒でサラ金に手を出す。
・・・・などの状況判断に誤りが生じます。家族や職場などの周囲の人が心配したり困り果てていても、判断力の低下のため、事態の深刻さに気付きません。

身体症状が現れる

長期にわたって飲酒した結果、明らかに身体にも現れてきます。
振戦・発汗・不眠・幻聴・幻視などが起きてきます。
依存症と診断された頃は多くの人が肝障害や糖尿病・神経障害を併発してきます。

依存症からの回復は、これと逆のステップをたどっていきます。
お酒をやめるだけで、身体症状が目に見えて改善し、しらふの期間が続くにつれ、判断力が戻っていき、生き生きとした感情、飲まない生活への自信、回復が進むと自分が生きる上でかけがえのないものは何かを考えたり、人生の意味について洞察を深めたりします。

自助グループに参加し続ける

その中にはAA(アルコホリクス・アノニマス)や断酒会があります。
ここではAAを説明しますが、この方法は非常にシンプルなもので12ステップと呼ばれています。言うなれば、頭で勉強するのではなく、実際に行うことによって体験する人生の生き方です。

このプログラムはただ断酒ではありません。
本当の目的は飲んだり使ったりしないで生きること。アルコールを止めようとしても「生き方」が変わらなければ依存症という病気からの「回復」とは言えません。
「生き方」がよくならなかったら再び酒あるいは、他のもの(薬・ギャンブル)に病的に依存します。

第一ステップ

依存症者は気分を変えるためにアルコールが人生を収拾不可能にし、依存という病気に対して無力になっていることを認めなければなりません。
依存症というのは、自分の行動を正当化する手並みが実に鮮やかです。自分が引き起こした問題を他の人達や環境のせいにします。
自分の問題は、アルコールへの依存が原因だということを認識しなければなりません。アルコールの乱用が夫や息子を依存症にしたのではないのです。
その反対で依存症という病気を持っているからアルコールを止めることもコントロールすることも出来ないのです。
アルコールを飲む前から依存症になりやすい要素や体質を持っていた訳です。

第二ステップ

第一ステップで、依存者は依存症であるが故に無力であることを認めています。
第二ステップでは、他からの力や援助、それに自分以外の力が必要だということを信じるようになっていきます。
多くの場合、初心者はグループの中の、回復に向かっている仲間のうちにこの力を見出します。他の依存症と同席して、その人達の話しに耳を傾けることにより、このプログラムに効き目があることを信じるようになります。
このプログラム数々の提案を徹底的にやってみれば、アルコールをやめて回復できることを信じるようになります。
ここでのキーワードは「聴くこと」です。

第三ステップ

第三ステップでは、依存症者の問題をグループに委ねることの意義を学びます。
これは自分のことを正直に話すこと、そしてアルコールから遠ざかる為に他の仲間がやっていることをまねするのです。
そうしていると、だんだんアルコールなしで自分自身の人生の不思議さを味わうようになり、以前だったら出来なかったことが今出来ているのに気づきます。
回復に向かっている依存症者は自分の生活を有意義に感じていきます。
「正しい自尊心」をもてるようになれば、もうアルコールに支配されるものではなくなり、「歯を食いしばった禁酒」に苦しむこともなくなります。

抗酒剤を服用する

抗酒剤は断酒の維持のため服用する薬です。抗酒剤にはシアナマイド液とノックビンという薬剤があります。
いずれも酒に対する強さを落とす薬です。
世の中には、おちょこ一杯の酒で真赤になったり悪酔いしたりする人がいますが、抗酒剤を服用するとこんな状態になります。
規程量を服用することで、だいたい日中はこの酒に弱い状態を維持しようというのが、抗酒剤療法です。
但し抗酒剤は患者さん自身が服用する気持ちがないときは全く役に立たず、あくまでも補助的なものにすぎません。
しかし、その利点も数えきれません。発作的に酒が飲みたくなった時には、化学的に酒を飲めない身体になるわけですから、歯止めになります。
また、朝、抗酒剤を服用することにより、酒を飲んではいけないとという極端に張りつめた気持ちをゆとりある緊張感に変えることができますし、一方では家族に対して安心感を与えることにもなります。

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アルコール依存症に関する12章より・斉藤 学 有斐閣新書 参照

詳しいことは下記の病院にお問い合わせ下さい。


社団法人八日会 大悟病院
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