トップページ  > 家庭の医学シリーズ  > 内科 > 心臓の病気(循環器系)について 1

心臓の病気(循環器系)について

はじめに

心臓・血管外科の進歩によって、治りにくいと言われていた病気の治療も可能となってきました。しかし、以前として心臓の病気の死亡順位は高くなっています。

1位 悪性新生物(癌) 2位 脳血管の病気 3位 心臓の病気

悪性新生物が死と直結して受け取られやすいのと同じように、心臓の異常は死につながると考え、心臓拍動の変化を自覚し、心臓の病気ではないかと悩む人もいます。また、器質的に異常があっても自覚症状がなければ、無理な生活をし、症状を自覚したときは、病気の状態は相当に進行していき生命の危機に陥る場合もあります。

成人病から生活習慣病へ

「成人病」という言葉は、厚生省が30年代初頭より用い始めた行政用語で、昭和32年に成人病予防対策協議会連絡会の議事録に「成人病とは、主として、脳卒中、癌などの悪性腫瘍、心臓病など40歳前後から急に死亡率が高くなりしかも全死因の中でも高位を占め、40~60歳の働き盛りに多い疾患と考える。」との記述があります。

厚生省は、昭和27年頃から、これらの病気について、治療の方法だけではなく早期発見、集団検診、健康管理などについて研究を進め、(循環器疾患の実態調査)国立循環器センターを設置し、健康の推進など各種施策を推進してきました。

これらの病気は、年齢が上昇するに従ってその頻度が増える性質があるため、人口の高齢化に従ってますます増加することが予想されます。しかし、生活習慣とこれらの病気の発症との関係が明らかになってきています。

予防対策

  1. 健康を増進し発病を予防する(ひとりひとりが健康的な生活習慣を自分で確立する
  2. 病気を早期に発見し早期に治療する(健康診査の普及・確立が中心)
  3. 病気にかかった後の対応として治療機能・機能維持

生活習慣病

行政は、健康に対する自発性を促し,生涯を通じた生活習慣改善のために個人の努力を社会全体支援する体制を整備してきました。
(生活習慣を改善することにより、病気の発症や進行が予防できるという病気の捉え方を示したものであり、各人が病気の予防に主体的に取り組むことを目指したもの)

そのようななかで、多くの人々は、心臓病と診断されると、その意味を理解し、深い関心を寄せ、また反対に、ある人々は心臓の病気に対してあきらめの気持ちを持ったり、“突然おこる”心臓発作には、なすすべがないと思いこんでいたりします。この結果、その症状を無視したり、他の原因にしてしまったり、症状の報告をおくらせてしまうことになります。

人間が生命を維持するため、血液循環の働きの中心となる心臓は胸部のほぼ中央に先端を約50度傾けた状態でリズムをとってポンプ作用を営んでいます。

心臓は、4室と4つの弁をもっており、心室の収縮によって酸素濃度の高い動脈血は全身へ(体循環)酸素濃度の低い静脈血は肺へ(肺循環)とそれぞれ送り出され弛緩した心房に全身から静脈血と肺からの動脈血が流れ込む心房の血液は、弛緩した心室へと移動します。

心臓は、一定のリズムで収縮-弛緩を繰り返し、心筋の収縮・弛緩に応じて、動脈血と静脈血が一定の方向に流れるように動脈血と静脈血を仕切る中隔があります。そして、中隔の左右それぞれに血液を受け入れる心房と押し出す心室があり、逆流しないように房室間と出口には弁を備えています。

心房壁は伸展性があり、心室壁は筋層が厚く体循環を担う左室壁がとくに強靱となっています。

心臓自体への酸素と栄養素の供給は、大動脈の出口近くから出る2本の冠動脈と心筋の静脈血を集めて冠状静脈洞から右心房に入る冠静脈として担われています。冠状動脈では動脈間連絡のしくみが発達しており、酸素欠乏時に側副路を形成して酸素欠乏によって起こる心筋の壊死を予防します。

血液循環

全身に張りめぐらされた血管・リンパ管などの脈管系と、そのなかを流れる液状の結合組織としての血液やリンパ液が、一体となって循環系機能を遂行しています。この流動性の組織は、生命体の構成単位である細胞のひとつひとつに生命維持に必要な物質(酸素、栄養体熱など)を運搬して供給し、代謝によって生じた水や炭酸ガスなどの老廃物を運び出す役割を担っています。また、ホルモンや電解質成分を運んでホルモン濃度やイオン濃度、体液量の調節を行い、内部環境の恒常性維持に寄与しています。

さらに、血液中のリンパ球やマクロファージ(動物体内のすべての組織に存在し,異物や体内の老廃細胞等を捕捉し,消化する大型細胞に属するアメーバ様細胞の総称)は全身をパトロール、身体各所のバリアを突破して侵入してきた病原菌や有害物質と闘い、食いとめます。身体防御作用(免疫)という重要な役目を担っています。そして、また血液循環は治療のための薬物を組織に運びます。

血液循環の動力源が心臓であり、血液の分配経路が動脈管、回収経路が静脈管、交換場所が毛細血管です。

血液循環は、呼吸運動のように意志によって左右できるものではありませんが、良好な血液循環の保持は生活の仕方によるところが大です。

末梢血管などが、変調を来したときの処置・看護はもちろんですが血液の流れがひとところに滞らないように、日常的に同一体位を避けたり、呼吸を整えたり、適切な運動をしたり、食事に気をつけたりというように健康に役立つような生活行動が健康人に対しても、なくてはならないようです。

心筋梗塞症とは

冠状動脈が完全につまってしまい、心臓の筋肉に酸素と栄養がいかなくなり、その部   分の壁の動きが悪くなってしまう病気です。心臓の壁の動きが悪くなると、ポンプとしての力が落ちてしまうことをいいます。

症状

激しい胸の痛み、呼吸困難、冷汗、吐き気、嘔吐など

合併症
  1. 不整脈 : 脈がとんだり、乱れたり、一時的に脈が遅くなります。
  2. 心不全 : 心臓のポンプの働きが弱くなり、必要なだけの血液を送り出せなくなり、血圧が下がったり、息が苦しくなったり、むくみが出たりします。
  3. 狭心症 : 胸が締め付けられるように痛くなります。しかし、心筋梗塞症の時のような痛みではなく、軽度で持続時間も短いです。
危険因子

高血圧・高脂血症・糖尿病・肥満・喫煙・精神的ストレス

狭心症について

動脈硬化や血栓などで心臓の血管が狭くなり、血液の流れが悪くなると、心臓の筋肉に必要な酸素や栄養がいきわたりにくくなります。急に激しい運動をしたり、強いストレスがかかると、心臓の筋肉は一時的に血液(酸素、栄養)不足となり主に前胸部、時に左腕や背中に痛み、圧迫感を生じます。

安静にしたり、ニトログリセリンを舌下すると血液不足が改善され痛みがとれます。痛みの持続時間は数分から15分前後で、ニトログリセリンがよく効きます。

心筋梗塞と狭心症のちがい

心筋梗塞

締めつけられるような激しい痛みがあり、不安感、重症感があります。発作の持続時間は、15分以上で数時間続くこともあります。ニトログリセリンの効果はみられません。

狭心症

突然、締めつけられるような重苦しい、圧迫感のある痛みがあり、1~5分程度で長くても15分以内で治まります。ニトログリセリンが多くの場合効果がみられます。

日常生活の留意点

運動について
  • 一度詰まってしまった血管は、元には戻ることはありませんが、少しずつ運動することによって、詰まっ  た血管の代わりとなる新しい血管ができます。そのためにも運動は必要です。
  • 心臓への負担を少なくすることが大切です。食事、排便、入浴、運動などの一つ一つの動作だけでも心臓に負担をかけ、それを立て続けにすることは発作を引き起こしやすい状態となります。また、薬を飲む前後は、薬の効果が十分に現れていないときです。そのため、薬を飲む前後1~2時間は安静にしていることが大切です。
便通について
  • 便をするときに力みすぎると、血圧を上昇させ、心臓へ負担をかけます。
  • 便意があるなしに関わらず、トイレに行く習慣をつけましょう。
  • 朝起きたときに、コップ1杯の水、牛乳を飲みましょう。(冷たすぎるものは、かえって発作を誘発するおそれがあります)
  • おなかのマッサージをしましょう。
  • 繊維の多い野菜などをとりましょう。
入浴について
  • お湯は、39゜C~40゜Cくらいの温めにし、長湯をしないことを心がけることが大切です。寒暖の差を考慮し、風呂場や脱衣所などを暖めることも必要です。
嗜好品について
  • たばこは、動脈硬化を招くことがあり、また、心臓の血管を収縮させることで血圧上昇することも考えられるためやめるのがいいでしょう。
  • コーヒー、紅茶、緑茶などは、カフェインが入っているため心臓を興奮させる働きがあります。しかし適量ならば心身をリラックスさせる働きもあるため、このようなことも考慮しておく必要があります。
夫婦生活について
  • 性生活は、一般的に一時的な運動と同等であるといえます。胸痛、息切れ、動悸 を感じない程度であればいいですが性交の間や、直後に症状が現れた場合には、 できるだけ早く医師の診察を受けることが望ましいでしょう。

次のページへ

引用・参考文献
  • 金子 光・小林冨美栄:系統看護講座専門5 成人看護学2 医学書院 1990
  • 厚生統計協会:国民衛生の動向、廣済堂印刷 1998
  • 薄井坦子:ナースが視る人体、講談社 1999
  • インターネット:循環器病情報サービス(http://www.ncv.go.jp/cvdinfo/cvdinfo.htm)

詳しいことは下記の病院にお問い合わせ下さい。

社団法人八日会 藤元早鈴病院 医療相談室
〒885-0055 宮崎県都城市早鈴町17-1
電話:0986-25-1313 FAX :0986-25-3950