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SPECTってなに?

SPECTとは、「Single Photon Emission Computed Tomography」の略で、日本語では「単光子放射線コンピュータ断層撮影」と呼ばれています。
SPECTは、ごく微量の放射線を出す放射性同位元素(ラジオアイソトープ)を体内に入れ、その分布状況を放射線量から読み取り、コンピュータで画像化する機器です。
このようにラジオアイソトープを使用した検査を「核医学的検査(シンチグラム)」ともいいます。
ラジオアイソトープは身体に入ると、臓器などの周辺に集める性質がありますが、臓器によって、あるいはがんのあるなしによって集まり具合が変わります。
そこで、検出器のついたカメラでラジオアイソトープの発する放射線量を体外から計測し、データを解析して臓器の様子を描き出すと、エックス線CTと同じような、身体を輪切りにした断層像が得られます。
近年では、数台の検出器を持ったSPECTも開発されており、短時間で質の高い画像が撮れるようになりました。
微量とはいえ、放射線を出す物質を体内に入れることに不安を感じる方がいるかもしれませんが、ラジオアイソトープは尿や便と一緒に排出されます。
また、ラジオアイソトープは放射線を出しながら減っていく性質があるのですが、その期間が短いため、身体の中にいつまでも残ることはなく、被ばくによる人体への影響はほとんどないと言えます。
現在、SPECT検査は医療現場で欠かすことのできないものになっています。
SPECTの仕組み
SPECTの《CT》は、エックス線CTと同じですが、《SPE》は「単光子放出」と日本語に訳します。
難しい言葉ですが、この「単光子放出」はSPECTの原理をシンプルに表現しています。
SPECTで用いられるラジオアイソトープはガンマ線という放射線を出しますが、SPECTでは1本だけしかガンマ線を出さないラジオアイソトープを用いて行います。
同じ原理を使った検査機器にPETがありますが、こちらは2個の光子を放射するラジオアイソトープを用います。
キャッチできる放射線が1本か2本かの違いで、機械の特性が変わります。
何を検査するかによって、用いるラジオアイソトープの種類が異なります。というのも、このような核医学検査は、ラジオアイソトープが特定の臓器や病巣に集まる性質を利用したものなので、撮影したい部位や病気のタイプごとに、相性のいいラジオアイソトープを選ぶ必要があるからです。

SPECT検査でわかる病気
SPECTでは、クエン酸ガリウム、塩化タリウムなど、様々なアイソトープが用いられます。
検査目的によって、これらの中から適したものを選択することで、骨や心臓の筋肉、肺、肝臓、甲状腺などの臓器の機能や、がんの状態などを調べます。
なかでも特に機能を発揮するのは、血流の測定、がんの種類や活動性の診断、短時間でのがんの全身転移の検索、神経伝達機能の測定などです。
例えば、脳の血液の流れを測定することで、認知症の進行具合や、脳卒中のリハビリテーションの効果などを評価することができます。
心筋梗塞の検査では、2つのラジオアイソトープを一緒に使って、血液の流れ、筋肉の活動状況の2つの側面から診断を行うこともあります。
また、がんの検査では、悪性度の評価も可能とされています。
- SPECTでわかる病気
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- 脳
- 脳梗塞、脳出血、くも膜下出血、脳血管性痴呆、アルツハイマー型認知症、ピック病、てんかん、モヤモヤ病、脳炎、神経伝達機能の検査、脳賦活試験(痴呆の進行具合やリハビリテーションの効果などを評価するために、光や音などの刺激を与えながら、脳の活動状態を調べる検査)
- 心臓
- 心筋梗塞、狭心症、心サルコイドーシス、心筋症 など
- 肺
- 肺梗塞(肺血栓塞栓症)
- 腫瘍
- 脳腫瘍、肺がん、乳がん、悪性リンパ腫、悪性黒色腫、軟部腫瘍・肉腫、転移性腫瘍、甲状腺腫、褐色細胞腫 など
SPECTの特徴
- がんの転移発見や機能・代謝の画像が得意
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SPECTは、CTなどのエックス線検査のように、臓器そのものの形態を見るよりも、その神経、代謝、神経伝達機能、受容体などを画像化できるという特徴があります。
特に、血流、臓器の動き、炎症、がんなどの検査では、エックス線CTやMRIよりも優れた能力を発揮します。また、アイソトープを使った核医学検査では、局所だけでなく、全身の状態を調べられるという利点があります。
そのため、SPECTは、短時間で全身のがんの転移を調べることも得意としています。
がんの状態(代謝)の画像化においても、重要性が増しています。
一般に、SPECTはエックス線CTやMRIなどと組み合わせて、より精密な診断を行うために使用されています。同じ核医学検査機器にPETがありますが、PETに比べると装置がコンパクトで扱いやすく、コストが安いのもメリットです。
そのため、多くの医療機関で導入しており、近隣で手軽に検査が受けられるのもメリットのひとつと言えるでしょう。
ただし、場所の特定や感度の点ではPETより多少劣ります。なお、SPECTではラジオアイソトープを使用します。
体内に残らず、放射線を出している時間も短いため、人体への悪い影響はほとんどないのですが、一般のエックス線検査よりは放射線の被ばく量は高くなります。 - SPECT画像を見てみよう
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- 脳梗塞
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急性期の脳梗塞のエックス線CT画像です。
向かって右側に若干の異常は認められますが、明らかな病巣は見当たりません。
同日に撮影されたSPECT画像です。
矢印の部分に血流の低下が認められます。脳梗塞の所見です。
- 労作性狭心症
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心筋血流SPECTでは、心筋への血流量に比例してアイソトープが集まります。つまり、血流の多いところは白く、血流の少ないところ、あるいは心筋梗塞などで細胞が壊死してしまっているところは黒く写ります。
安静にしているときのSPECT画像では、丸いドーナツ状に写っており、明らかな濃淡差はありません。
一方、負荷時像を見ると、左上4分の1程度の部分(前壁中隔から心尖部)に、安静時と比べて黒い部分が認められます。
黒い部分は血流の低下を示しているので、前壁中隔から心尖部にかけて一時的に血液の流れが悪きなっていることがわかります。
冠動脈造影を行った結果、心臓から下側に向かって伸びている血管(左前下行枝)が、9割ほど細くなっていることを認めました。
実際に検査療を受けるとき
- 検査に注意が必要な方
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検査前にアイソトープを注射するので、妊娠中の方もしくは妊娠の可能性のある方、授乳中の方には行えません。
- 検査を受ける前の準備
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検査の内容や使用するラジオアイソトープの種類によって、事前に食事制限や排尿・排便などを促す前処置が行われることがあります。
例えば、がんの全身転移を調べるクエン酸ガリウムというアイソトープを用いた場合、検査前夜に下剤を飲み、できれば検査時にお腹の中に何もない状態にする必要があります。
理由は、このラジオアイソトープはがんに特異的に集まるものの、便中にも排泄されるために、腹部に便があるとがんと間違えやすいからです。検査が決定すると、事前に担当医師、看護師、放射線技師などから必要な準備事項の指示がありますので、その指示に従うようお願いいたします。
- 検査の様子
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検査前に、あらかじめラジオアイソトープを少量静脈に注射し、過敏性の有無を調べます。
過敏性がなければ、ラジオアイソトープを静脈に注射します。待ち時間はラジオアイソトープや検査の種類によって異なります。(下記表参照)検査が始まってからは、ベッドに寝ているだけです。
検出器を目的の場所に当てて測定を行い、30分前後で終了します。ラジオアイソトープと検査の種類
注射してから検査を始めるまでの待機時間塩化タリウム 心筋の検査 10分~3時間後 脳腫瘍の検査 10分~2時間後 99mTc-HMPAO 脳血流の検査 10分後 123I-IMP 脳血流の検査 30分~3時間後 クエン酸ガリウム がんの検査 2日後
SPECTのバリエーション
- CTの組織画像と重ね合わせたもの
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現在、SPECTとエックス線CTを組み合わせた装置が開発されており、SPECTで撮った機能的画像をエックス線CTの組織画像と組み合わせてみることもできます。
また、半導体の検出機器を使用して、小型軽量化したポータブルタイプのSPECTもあります。
これは、手術中の検査にも用いられ、乳がんの手術などで、リンパ節移転があるかどうか、がんの範囲をその場で確認することで取り残しを防げます。今後、さらに進んだ放射性薬剤が開発されれば、神経伝達機能の精密な測定も可能になり、精神神経疾患や認知症の早期診断、治療、薬物療法の評価、予防などの分野で飛躍的な進歩が予想されます。