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リニアック

どんな治療?
- 体外から放射線を当ててがんを叩く!
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放射線治療装置(リニアック)は、エックス線や電子線などの放射線を当てて、がんなどの治療をする機器です。
エックス線を体に当てるという点では、体内の画像を撮影するエックス線診断装置と同じですが、使用するエックス線のエネルギーを高くすることで、治療効果をもたせたものです。放射線を出す装置は工業用のアームに取り付けられていて、患者さまが多少動いてもロボットがその位置をキャッチし、病巣部に正確に放射線を当てます放射線治療は、手術と同じように、がんなどの特定の病変部位(病気の場所)を取り除こうとするものです。
ただし、体にメスを入れることなく治療できるところが、手術と異なります。
リニアック装置では、体の外から体内のがんなど病気の部分に向けて放射線を照射し、それを破壊したり進行を抑えたりします。
そのため、病気の部位に到達するまで体を切り開かなければならない手術に比べて、正常な組織へのダメージが少なく、それらの機能を残したまま治療できるのです。
もちろん、治療を受ける際の体への負担も最小限ですみます。 - リニアック装置の仕組み
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放射線治療装置には、他にもガンマ線という放射線を用いたテレコバルトがあります。
しかし、リニアックに比べて放射線のエネルギーが低く、体の深い部分にある病変部位には適していませんでした。
また、放射線を発生源として、常に放射線を出し続けているコバルトを使っているため、その保管・管理などもやっかいでした。それに対してリニアックでは、放射線のエネルギーが高いため、体の深部の治療も行なえます。
利用する放射線は、高圧の電磁場で電子を加速させ、それを金属にぶつけて生み出すので、電気を通していない時は放射線が発生せず、管理が楽です。さらに、最近のリニアックでは、病気の種類や場所によって、エネルギーの強さが違う数種類のエックス線や電子線などの放射線を使い分けることができるようになりました。
これは、エックス線と電子線など、違うタイプの放射線はもとより、同じエックス線でも、エネルギーの強さによって、どの程度の深さまで届くのかなど性質が異なるからです。
適切な放射線を選べるというのも、リニアックのメリットの一つです。
効果が期待できる病気
- がん治療に活用
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主に、がんの治療に用いられます。広い範囲に放射線を当てられることと、全身の病変部位に使用できること、複数回にわけての治療が容易であることが特徴です。
放射線を使ったがんの治療には、リニアックのほかにも、放射線の照射源を子宮や膣、食道などに挿入して治療する腔内照射、直接病気の組織に針を刺して照射する組織内照射、病変部位に四方から放射線を集中させて当てるガンマナイフやサイバーナイフなどの定位放射線照射があります。
それらは、病気の場所に対して、ピンポイントに照射することができる反面、反応が強く現れてしまう場合もあるという欠点をあわせ持ちます。
かといって、照射部位を限ると、がんの場合に存在する、目に見えない形の、周辺組織への密かなひろがりを放置してしまうことになります。
つまり、がんの周りにある正常な組織にも、決定的なダメージを与えず、ある程度は放射線を当てることが必要なのです。そんな時、リニアック装置の特性が活かされます。
ある程度広い範囲に放射線を当てることができるうえ、正常組織へのダメージも緩やかです。
また、もともとがん細胞と正常な細胞では、放射線を受けたときの影響が異なり、正常組織のほうががん細胞より早く回復するという性質があるので、放射線治療装置で何回にも分けて照射することで、照射部に含まれる正常な組織への影響を少なくできるのです。リニアック装置による治療は、ガンマナイフやサイバーナイフなどの定位放射線照射と併用して用いられることもあります。
リニアック装置で、周囲の見えない病変をたたき、ガンマナイフやサイバーナイフで、見えている病変をさらに、集中的にたたくわけです。
手術や化学療法と組み合わせる方法も盛んに用いられるようになってきました。
また、がんにともなう痛み、出血などの症状を和らげる緩和医療にも効果を発揮しています。
治療の対象となる病気
- がんの治療
- 咽頭がん、喉頭がんなどの頭頸部がん、肺がん、食道がん、子宮がん、前立腺がん、乳がん、悪性リンパ腫など(各種悪性腫瘍の脳転移、骨転移)
- 緩和医療
- 骨転移の疼痛の緩和、脳転移に伴う諸症状の緩和、腸管閉塞の解除(食道狭窄)、骨盤腫瘍に伴う伸展痛の緩和、リンパ管閉塞の解除、血管閉塞の解除、肺がんにおける気道狭窄の改善、腫瘍により血管が閉塞し顔面が腫脹する上大動脈症候群、尿路閉塞、肝転移による疼痛、子宮がん、膣がんからの出血
治療の対象となる病気
- 頭から手足まで全身に使用できる
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ガンマナイフやサイバーナイフと比較すると、一回の放射線の線量が少ないため、より広い範囲に照射することができます。頭から手足の先まで全身に使用できるのも大きな特徴です。
ピンポイントの照射という点では、ガンマナイフなどに比べて能力が劣りますが、病変部位の形に合わせて、柔軟に照射範囲を変えることもできるようになっています。
たとえば、不規則な形をした病変に対しても、マルチリーフ・コリメーターという装置を組み合わせることによって、患部の形状に合わせて照射範囲を設定することも可能です。
さらに、いくつかの照射範囲を重ね合わせ、5~7方向から放射線を当ててその重複した部位に集中させることで、より複雑な形をした病変部位への対応も行なえます。毎日の照射を、正確に行なうための技術も、進歩してきました。
照射中、体が動いてしまうのを防ぐ固定具、目的の位置に照射できているかどうかを確認するEPID(Electric Portal Imaging Device)装置などです。
これらを用いることで、2-3mmの正確さで位置あわせを行い治療をすることができるようになりました。リニアックでは胸や腹部なども治療できますが、臓器のなかには呼吸によって微妙に位置が変わるものもあります。
そのため、治療する際に、臓器の動きをできるだけ抑制すること、また、その動きを把握する工夫が求められています。
現在、呼吸による臓器の位置のずれをキャッチするセンサーや、それに合わせて照射時間を調整する装置などの研究も行なわれています。放射線による治療では、こうした機器の改良も踏まえて、リニアック、ガンマナイフ、サイバーナイフなどのそれぞれの特性を活かし、治療目的や病巣の種類によって使い分け、治療効果を高める工夫がなされています。



実際に治療を受ける時
- 25~30回の照射を1か月程度実施
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リニアックによる放射線の照射は、週5回にわたり25~30回程度行い、4~6週間かけて治療するのが一般的です。
また、痛みなどの症状を緩和する目的で実施する場合は、数日から1、2週間と期間が短くなります。正常部への影響をさらに軽減する目的での、一日二回の多分割照射(Hyper - fractionation)、化学療法併用の照射なども行なわれるようになってきました。
なお、手術や化学療法などを同時に行っていなければ、基本的には通院での治療が可能です。
しかし、症状に変化が現れた場合や、放射線治療の副反応として見られる、全身倦怠感を中心としたむかつき、嘔吐、食欲不振などの症状(放射線宿酔)が強くでた場合には、入院が必要になることがあります。
普通は、放射線宿酔は一時的なもので、安静にしていれば1、2週間で治ります。また、頭~首の部分の治療にともなった粘膜炎による痛みや食欲の低下、肺や食道などの胸部の腫瘍では食べ物などを飲み込む時の痛み、骨盤部の治療の際の下痢症などが、治療後半に表れてくることがあります。
これらの症状が強いと、入院治療になることもあります。 - 症例:食道がん T4N1M0 stage III 年齢 80代
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食道がんに伴う、食事の通過障害が見られる状態でした。一回2Gy、33回、合計66Gyの放射線治療を行い、腫瘍の縮小みられ、食事も可能となりました。
治療終了19ヶ月目の食道透視、CT、食道ファイバー検査でも再発や、食道の狭窄見られず、普通に食事をとることができています。
- 治療に注意が必要な人
- ペースメーカーを装着している人 : 一部のペースメーカーの装着者においては使用困難な場合があります。ペースメーカーを使用している方は申し出てください。
- 治療を受ける前の準備
- 義歯、ヘアピン、ピアス、金属の付着した衣類など放射線を遮るものははずしておきます。
健康な組織への副作用防止に欠かせない
- 放射線治療計画システム
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放射線は、がんなどの腫瘍に対する高い治療効果を持つと同時に、正常な組織にも影響を与えてしまう恐れのある諸刃の剣です。
そのため、リニアックをはじめガンマナイフ、サイバーナイフなど放射線を利用した治療機器では、そうした副作用を最小限におさえることが重要な課題となります。
そこで欠かせないのが、コンピュータによる放射線治療計画システムです。副作用を防ぐとともに治療効果を最大にするためには、放射線を当てる範囲、時間、量などをあらかじめ検討しなければなりません。
その際、エックス線CT、MRI、SPECT、PETなどの諸検査で得られた情報から照射位置を決定していきますが、数多くの情報を総合的に検討し、しかも実際の治療に対応できるように照射位置を示した3次元の地図を作成する必要があります。
こうした精密な作業は、人間の能力ではとても対応できないため、最近ではコンピュータによる放射線治療計画システムが使用されています。このシステムは、リニアック、ガンマナイフ、サイバーナイフなどそれぞれの装置ごとに、その特徴に合わせて設計されています。
たとえば、リニアックで用いられるシステムでは、検査データを2次元や3次元の画像として置き換え、様々な形をした病巣や正常組織に当たる放射線量の予想分布を高い精度で割り出し、治療計画を作成します。
医師は、コンピュータが示した数パターンの計画から、最適なものを採用して治療します。しかし、放射線治療計画が複雑なものになればなるほど、実際に治療に利用するためには、さらに慎重な対応を要します。
計画装置は本当に正しい線量分布を示しているのか、治療装置は正確に正しい場所を照射しているかなどについて、フィルムやファントム(擬似模型)に実際に照射し、その結果を測定・分析することにより、治療計画が妥当であるかどうかを検証しています。また、治療期間中、治療終了後も、体におこっている反応を、診察時に確認しながら、治療効果の判定、および、治療の影響を把握し、治療計画、照射が妥当であったかの判断をするとともに、再燃時、合併症症状出現時に、早期に治療を開始することができるようにしています。
- 周囲正常組織への影響を減らした放射線治療(前立腺に対する 3D-conformal radiotherapy)
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線量分布図
斜めからを含む5つの方向から、前立腺に集中させて照射したときの線量分布です。
周囲の膀胱、直腸への照射線量を減らすことができています。
おわりに
このように、コンピュータ技術の進歩と、いままでの放射線治療の歴史を大切にしながら、最善の治療効果を得ることができるよう、正確で安全な放射線治療を行うことに努めております。放射線治療についてのご質問がありましたら、お気軽に声をかけてください。