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大豆の効果:②大豆の栄養価―アミノ酸とカルシウム

大豆講座の第一回では、大豆が牛肉に匹敵するくらいのタンパク質を造りだすしくみについてお話ししました。
タンパク質の元になるアミノ酸の不可欠な材料が、空気中の窒素だということは大変意味深いことです。
バランスが取れたアミノ酸からなる食べ物は、からだの日々のリフォームに欠かせないものですから。

からだのリフォームとしての食材

「悪徳リフォーム屋」にだまされないためにも、あなたまかせにしない「食の常識」を養うことこそ、わたしたちの病気予防の「転ばぬ先の杖」となるわけです。
そして、それがとりもなおさず生活習慣病を避ける戦略であり、健康長寿を得る戦略である「食-医同源」なのです。
これは筆者の造語ですが、単なる駄洒落ではなく、筆者積年のおもうところの集大成ともいえる基本理念です。
まさに都城市のスローガンである「ウェルネス都市」の理念と「軌を一」にする考え方ではないでしょうか。

それにしましても、わたしたちは最近さまざまに起こる食の不可思議なできごとに警戒しています。
日本が飽食という環境にありながら、今日ほどわたしたちが過敏になって食べ物や食材の安心、安全さに高い関心を持たざるをえないといった困った状況にあります。
多くの人々はできるだけ国内で生産される信用できる農業生産品の中でより品質の高い食材を探そうとしています。
そして、かなりの犠牲を払ってまでしてもよりよいものを求めようとする傾向を認めます。
これはまさに「善良で親身なリフォーム業者」を求めているわけですから、理にかなった行動にほかなりません。

大豆タンパク質

さて前回、タンパク質の構成元素のC,H,O,Nの起源についてお話しました。前回で触れられなかった大事なタンパク質のことがらについてもう少し付け加えておきましょう。
なぜなら、ヒトにとってタンパク質の一日必要量の下限たとえば75グラムというものがあっても、上限はないといってもいいくらい大切な補給物なのです。
その点で、ごはんやパンなどの炭水化物や脂っこい食べ物の食べる量は意識して減らすという点で考え方は根本的に異なります。
ところで、食材として優等生ともいうべき大豆のタンパク質量についてみなさんにイメージしていただきたいので、さまざまな食べ物と対比してお示ししましょう。
次の表は国内でよく使われている食品成分表からとったものです。

食品成分表(100グラムあたり)
エネルギー たんぱく質 脂質 炭水化物 カルシウム 食物繊維
大豆417Kcal35.3g19g28.2g240mg9.4mg17.1g
エンドウ352Kcal12.7g2.3g60.4g65mg5mg17.4g
サンマ310Kcal18.5g24.6g0.1g32mg1.4mg0g
牛肉(和牛)498Kcal11.7g47.5g0.3g3mg0.9mg0g
豚肉(ロース)202Kcal21.1g11.9g0.3g5mg0.3mg0g
鶏肉(ムネ肉)108Kcal22.3g1.5g0g4mg0.2mg0g
鶏卵(全卵生)151Kcal12.3g10.3g0.3g21mg1.8mg0g
牛乳67Kcal3.3g3.8g4.8110g-0g
ホウレン草20Kcal2.2g0.4g3.1g40mg2mg2.8g
キャベツ23Kcal1.3g0.2g9.1g43mg0.3mg1.8g

これでわかることは、大豆のタンパク質量は肉類に匹敵あるいはそれ以上ということがいえないでしょうか。
ある人はこうおっしゃるかもしれません。「大豆など100グラムなんて食えるか」「やっぱり牛のリブロースを一週間に二回くらいは食べなければ、スタミナがもつわけない」など、聞こえてきそうです。

大豆に含まれる優良な成分は、タンパク質だけではありません。
上の表のほかの欄にある脂質、カルシウム、鉄、食物繊維をご覧ください。大豆はなんとバランスの取れた食材であり、きわめて密度の高い食材という意味でいわばCD(コンパクトデイスク)カセットみたいなものです。

わたしたちが口から食べたものはそのままではからだの中へは入ってはいけません。
この場合の大豆タンパク質は多くの場合そのままからだの中へは入ってはいけません。
ご存知のように、食べ物は消化管で消化吸収されるわけで、食べ物には消化管でいわば第二の調理によってさまざまなアミノ酸に分解されてからからだの中へ吸収されます。
第一の調理とは台所や調理場でおこなうお料理をつくることです。

大豆の場合さまざまな第一の調理法があるわけで、それらは普段わたしたちが食べているおなじみのものです。
納豆、お味噌、しょう油、お豆腐、厚揚げ、豆乳、おから、きなこなどなど。
前回お話しましたように、禅宗のお坊さんによりますと大豆をもちいた無数の献立があるのです。

大豆アミノ酸

先ほどの食品成分表にはアミノ酸の内訳もくわしく示されています。
これもお示ししたいのですが、大変複雑な表になってしまってわき道にそれてしまいそうです。
おおよそのことをまとめておきましょう。アミノ酸は約20種類あり、そのなかにはからだでつくられにくいものとそうでないものとがあります。前者は10種類あって「必須アミノ酸」とよばれており、リフォームのために毎日必ずからだにとり入れる必要があるものです。
大豆は肉類とほぼ同等あるいはそれ以上の重要なアミノ酸を含んでいます。
特に重要なトリプトファンは約2倍含んでいますし、チロジンも大豆に多く含まれています。

これらの重要なアミノ酸はからだに入ってからリフォーム材料になるほかに、さまざまな道筋をたどりながら重要な働きをする物質にかわっていきます。
特に精神活動やホルモンの欠かせない材料になったりします。こうした重要なアミノ酸の不足は知らずしらずにおこってきます。
便利な食環境は、ついかたよった食事や調理済みの食事へと流されていく要因となりましょう。
自分自身で食材を吟味して買い、料理を楽しむような食事をあえて心がけていかないと、食に限らずあなたまかせの流儀が身に染み付いてしまいがちです。
最近のはやりのことばですと、「スローフォード」となりましょうか。
次にカルシウムのことにすこし触れながら、熟年女性に最もかかわりの深い植物エストロゲンについての次回講座へと進めて行く予定です。

カルシウム

上の表をご覧になると、大豆のカルシウムが牛乳よりも多いことに気づかれることでしょう。
カルシウムにはからだにとって吸収されやすいものと吸収されにくいタイプとがあります。一般的にカキガラや小魚のカルシウムは吸収されにくいタイプのものです。
大豆や大根などの根野菜そして牛乳には吸収されやすいカルシウムが豊富です。
牛乳の場合、低脂肪のものが熟年女性にはひかえめにおすすめです。
日本の市販牛乳はほとんど3%以上のもので、アメリカやカナダでは2%程度の低脂肪牛乳が一般的です。

カルシウムが注目される理由はたくさんありますが、多くの女性にとって骨粗しょう症予防は老後にとって大変重要な健康問題です。
これにはカルシウムだけ注目してもうまくいかないと考えます。からだの中のしくみをみると、カルシウムは骨の硬さをたもつことだけでなく、すべての細胞のはたらきを元気にしてくれるものです。
これらのはたらきにはさまざまなものが互いにかかわっています。
たとえがビタミンD、ビタミンKといった重要なビタミンの補給も重要になります。

ビタミンDと女性ホルモン

ビタミンD は現代の医学の考え方では、ビタミンというよりもホルモンといえるようなはたらきがあります。
ビタミンD関連物質はもともと皮膚の脂肪組織にたまっており、紫外線によって役に立つようになります。
そして消化管や腎臓でカルシウムの吸収や分泌に役立ちます。
このことから適度な日光浴が骨の維持に大変重要なことがわかるかとおもいます。

ところで皆さんご存知のように、骨の維持には女性ホルモンのエストロゲンは大変重要です。
閉経後のホルモン状態はまさに女性ホルモン欠乏状態なのですから、男性よりも女性の方が骨粗しょう症になりやすいことがこのことからもうなずけましょう。
このエストロゲンと似たはたらきのあるものが大豆に豊富に含まれています。
ゲニステインというイソフラボンです。大豆の薄黄色の成分はこの物質です。
エストロゲンよりも弱い力しかありませんが、毎日補給することもカルシウムやビタミンのこと以外にもお気をつけになると良いでしょう。

それでは次回にこの植物エストロゲンの驚くべきはたらきについてお話しましょう。