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赤いトマトの健康パワー(1)

いままでのところで、食べものや生活習慣が知らずしらずのうちに病気をひきおこしていくありさまが多少でもイメージされましたら、さいわいです。
しかし、わたしたちのからだは「神様」が大変巧妙につくってくれましたおかげで、なかなか病気にならないようになっています。
いわば船の復元力みたいに、左右にゆさぶられても元にもどろうとする力が十重二十重(とえはたえ)に備わっています。

多少の暴飲暴食をしても、過剰なストレスがあっても、体調はゆっくり元にもどって元気をとりもどすことになります。
こう考えてきますと、なんともからだや自分がいとおしくなってきて、このような創造物たちをこしらえた地球という環境がじつに「有難き」ことにおもえませんか。
そして、自分にやさしくするように周りの人々ともなごやかなキズナがしらずしらずのうちにひろがっていくことでしょう。

さまざまな生きものに接するたびに、わきあがる情感とともにじっくり見てみようという好奇心は、心の力である「気」からわきあがってくる人間本来の本能かもしれません。
どのようなひどく傲慢な人でも、赤ちゃんや猫や犬などの動物たちのかわいさには負けるでしょう。
これから桜の季節をむかえますが、待ちこがれる気持ちはふつふつとたぎってきましょう。
これらも人間本来の本能的な「気」がゆさぶられるからといえましょう。このような「気」がゆさぶられるような目線で、わたしたちの健康と食べものについてさらに考えていきたいとおもいます。

第一にとりあげたいのはトマト。スーパーにはさまざまな形や色彩のかわいくもたくましいトマトがならんでいます。
ミニトマトからフルーツトマトまで多士済々。トマトは毎日食べても飽きないという点できわめてユニークな食材です。
酸っぱ味は食欲を増し、甘みは味にコクを増してくれます。特に朝食の寝ぼけた胃袋にはトマトの適度な酸味(pH約4)は程よい量の朝食をうけいれるのに最適でしょう。
更に、トマトは昼食のサラダやサンドイッチ、夕食の主菜にそえる野菜として欠かせない食材といえましょう。

原産地は南米の荒涼とした高原大地とか。食文化史的に大変興味深いものがあります。
トマトは南米の征服者(コンキスタドーレ)のスペイン人によってヨーロッパにもたらされ、地中海を中心にひろがりました。
当初、トマトは食べものというより飾りものだったようです。19世紀ころまで有毒のイヌホウズキと同じと考えられていました。
その後イタリアを中心に食材としていかされて、調理したトマトはイタリア料理の味つけには欠かせないものになっていることは皆さまご存知のところです。

トマトの良さ、それは豊富なビタミン、葉酸、カリウムを含んでおり、豊富なビタミンはおもにトマトの赤味に由来します。
これはカロチノイドといわれているもので、天然にある最もありふれた色素のひとつです。
緑黄色野菜に含まれるカロチノイドはビタミンAにさまざまな種類の成分からなります。
トマトの中にあるカロチノイド成分がリコペンと呼ばれ、がん予防に重要な成分であることがわかってきました。
そのほかに貧血改善によい葉酸を含んでおり、ビタミンCそしてミネラルのカリウムが豊富です。

かための紅いトマトはヘタを下にして室温でも日陰におくと約1週間もちます。冷蔵するとかえって味や食感を悪くします。
食物100グラム当たりのリコペンの主な含有量(mg/100gで表示)は以下のようになります。
トマト(生)3.10、トマトジュース(缶入り)8.60、トマトペースト(缶入り)6.50、トマトソース(缶入り)6.30、スイカ(生)4.10です(マンジェルス他:果物や野菜のカロテノイド含有量:分析データの評価を一部改変)。
このことからリコペン量は自然界には比較的にまれなものであることがわかります。

リコペンもほかのカロチノイドと同様に油にとけるビタミンですから、いためものや調理ものの方が消化吸収されやすいでしょう。
生野菜サラダでもオリーブオイルやごま油をベースにしたドレッシングにからめていただいてはいかがでしょうか。
できますれば、トマト、レタス、たまねぎなどのきざんだ野菜ははじめオリーブオイルやごま油でからめてからお酢や塩を加えますと、さっぱり感をたもたせることができましょう。
こうしてみますとピザやトマトのパスタソースがかかせないイタリア風料理は理にかなった調理法です。
いわゆる「地中海料理効果」という健康食の代名詞に使われるゆえんといえましょう。

カロチノイドはからだの中で常時つくられてしまう悪玉酸素(活性酸素)を消しさる抗酸化作用をもっており、中でもリコペンは抗酸化作用がつよいことが知られています。
活性酸素とは、からだのすべての細胞たちが生きているあかしのエネルギーをつくりだす際に、必要悪としてつくられてしまうものです。
これを消しさる力の差が動物の寿命を決めているとさえいわれています。活性酸素を消しさる方法は二つあり、食べものから補給する方法とからだにそなわっている抗酸化力(酵素の力)を高める方法です。

こうしたさまざまな情報から、リコペンのことが医学的に研究されてきています。
たとえば、血液中のリコペン量の高い人々では、前立腺がん、肺がん、胃がんにかかりにくいという報告があります。
また膵がん、大腸がん、食道がん、口腔がん、乳がん、子宮頚がんについても同様の傾向がみられたということです。
これらからリコペンあるいはトマトの力によって、生活習慣病であるおとなのがん予防に期待がもてそうで、今後の研究結果が待たれます。
ところである程度のお年の方々には、むかしのトマトと今のトマトでは味や香りがずいぶんちがうことを実感されているとおもいます。かくいうわたしもそうです。

戦後の疎開地で母親がつくっていたトマト畑で、ひとつもぎ取って食べたときにナント香ばしかったことでしょうか。
果肉の味や歯肉にまとわりつく歯ごたえはいまだに忘れられません。おいしいトマトを食べるたびに、ずいぶん昔の初夏の暑い日を思い出して、大いなるノスタルジックな気分となったものでした。
こうした思い出はセピア色のアルバムの一ページとして長らく折りたたまれていましたが、ここ都城でそのアルバムがふたたびひらかれようとは!八日会の温室で栽培されている無農薬トマトと遭遇したときにその思い出をあらたにしました。
色よし、味よし、香りよし、そしてクスリにまさることが期待されるトマトです。是非お試しくださることをおすすめします。