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動脈年齢をわかりやすく!(その2)動脈のつまり

動脈のつまり

動脈がつまるにはいくつかの原因があります。
これらの変化の引き金は動脈の内壁をおおう内皮細胞の障害です。
それは例えば高血圧という物理的な血流の力やタバコをはじめとする活性酸素によっておこります。
従来の動脈硬化の考え方は、土管の内側に湯垢がたまるように物質が蓄積して血管内腔が全体に狭められてつまるというものでした。
最近の動脈硬化の考え方は、これから述べるようにさまざまな細胞や生理活性物質による積極的な部分的なつまり(前述の粥腫形成)によるというものです。

高血圧では血液の流れが速くなり、血流の乱れが起きやすくなります。
そのようなところでは、内皮細胞表面は血流の乱れによるズレという微妙な変化に常にさらされています。
内皮細胞の細胞膜が壊れると細胞膜から生理活性物質(アラキドン酸、プロスタグランジン系)が遊離して、局所に炎症反応が起こり、血小板凝集が起こります。
血液の凝固系の各因子が動員され、また細胞反応としては旗振り役のマクロファージがかかわります。さらに血液中の悪玉コレステロールや脂肪の量が多いとマクロファージがこれらを貪食し、局所にとどまって細胞の集塊を形成します。
これが、中性脂肪やコレステロールを貪食したマクロファージの集まった粥腫(ジュクシュ)という塊です。
この局所では血液の流れがますます乱れ、血小板の凝集、凝固系の活性化が加わり、内腔が徐々に狭められます。動脈の平滑筋が可逆的にけいれんして、内腔を断続的に狭めます。

このようなことが心臓でおこると狭心症という症状となります。
この場合、心筋細胞は死んでおらず元に戻ります。最終的には内腔は詰まって、血流が遮断されます。
このように元に戻らなくなった心筋の壊死を心筋梗塞といいます。
治療が間に合わずに心機能停止という結果を招くこともあるでしょう。
脳でおこると、脳卒中となります。
このような病気が最終段階までいたるのに年余の時間がかかるわけで、それだけ予防の時間がかせげることになります。
この場合、注目すべきは食べる脂肪分の内容です。コレステロール、中性脂肪、脂肪酸などについての知識は、最低限必要となりましょう。

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善玉と悪玉コレステロール

以上のように心筋梗塞や脳卒中が起こる動脈硬化の原因には高血圧、高コレステロール血症があり、糖尿病や喫煙も要因として無視できません。
高コレステロール血症の治療薬として、コレステロール合成を抑える薬が開発されています。
血液中のコレステロールは消化管から吸収されるものと肝細胞で作られるものとがあります。

体内からのコレステロール補給は寿命のつきた赤血球の細胞膜から肝臓で組み立てられます。
コレステロールは肝臓で血液に放出される一方、胆汁中に排泄されて消化管に出て胆汁酸と結合して、脂肪の消化吸収にかかわります。

血液中のLDLコレステロールとはコレステロールの運び屋といわれ、これはリン脂質とリポ蛋白でできた袋のようなもので、その中に約1500個のコレステロール分子をいれて血液の中を流れています。
LDLコレステロールはしばしば悪玉コレステロールといわれていますが、何が何でも悪いのではなく、多すぎる量が問題です。
肝細胞の表面にLDLコレステロールの受け皿(受容体)があり、血液中のLDLコレステロールの量を調節しています。
肝細胞のコレステロールが下がると、血液中のLDLコレステロールを取り込みやすくなり、LDLコレステロール値が下がります。肝細胞内のコレステロールが増えると、血液中のLDLコレステロールは増加します。
つまり肝細胞がコレステロールつくらないようにすると、高コレステロール血症を治すことができます。肝臓のコレステロールを抑える薬がメバロチンをはじめとするスタチン系薬剤です。

読者の皆さんがすでにご存知のように、HDLコレステロールという善玉コレステロールを高め、LDLコレステロールを下げることが脳、心血管病予防の骨子です。
HDLコレステロールは女性ホルモンのエストロゲンでも男性ホルモンでも増加することが知られています。
また運動や適度なアルコール(ビール中ビン一本あるいはワインコップ一杯程度)でもHDLコレステロールを高め、動脈硬化を抑えることが認められています。

コレステロールの値と同時に、コレステロールの質も問題になります。
LDLコレステロールが活性酸素によって酸化されことはからだにとってマイナスであり、抗酸化物質の豊富な野菜や果物をとることは病気予防に重要です。
オメガ-3脂肪酸は抗酸化作用をもっており、サケやタラなどの魚をとることは動脈硬化を抑えることになります。
葉酸やビタミンB群の補助は血液中のコレステロールの状態を改善してくれます。

動脈をつまらせる血栓を防ぐにはアスピリンが有効です。アスピリンは血小板の凝集を抑えたり、炎症にかかわるアラキドン酸という物質をおさえます。
近年米国では高コレステロール血症がない人の心筋梗塞の危険性が問題となっています。
血清コレステロールが正常範囲でも、炎症マーカー(CRP)が高い人は要注意で、約1/3の人々がそれに該当するという重大な発表がありました。
日本人にそのまま当てはまるものではありませんが、要はコレステロールの値のみ気にしていればよいということに警告となりえます。

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脂肪酸

私たちのからだの脂肪酸は、大別して四種類あります。
飽和脂肪酸、多不飽和脂肪酸、単不飽和脂肪酸そしてトランス脂肪酸です。

飽和脂肪酸
飽和脂肪酸は通常固形状態で、いわゆる脂肪といわれているもので、動物性脂肪に多いです。
飽和脂肪酸はミルク、クリーム、チーズ、バター、牛肉、子牛肉、羊肉、豚肉やハムなどの脂肪部分に含まれます。
また飽和脂肪酸はココナツオイル、椰子油などのトロピカルオイルに含まれます。
肝臓は飽和脂肪酸からコレステロールを作り出しますので、高コレステロール血症の人は脂肪をひかえた方がよいことになります。
多不飽和脂肪酸
これには、オメガ-3脂肪酸とオメガ-6脂肪酸の二つの型があります。
前者は健康にプラスに働き、後者の過剰摂取はマイナスに働きます。
例えばリノレン酸はオメガ-3多不飽和脂肪酸で、人のからだでは作られないので必須脂肪酸ということになります。
これと同様のオメガ-3脂肪酸は植物性プランクトンとそれを食料にしている寒流に棲むひかりもの魚類に豊富に含まれています。
例えば、鮭、鯖、マグロ、ニシン、オヒョウ、タラ、イワシなどの魚です。オメガ-3脂肪酸は亜麻仁油、麻油、クルミ油などの植物油に含まれます。
オメガ-3脂肪酸は心臓血管系の病気ばかりでなく、がん予防にもよい効果があることはすでに説明しました。

とり過ぎに気をつけるオメガ-6脂肪酸は植物オイルに多く含まれます。
コーンオイル、サンフラワーオイル、ベニハナオイル、コットンオイルに含まれます。
オメガ-6脂肪酸はしばしば血清コレステロールを低下させますが、善玉コレステロールのHDLコレステロールも下げてしまいます。
単不飽和脂肪酸
これはオリーブオイルやピーナッツオイルに含まれます。
今まで何度も触れたオリーブオイルですが、これには単不飽和脂肪酸が含まれ、またスクワレンが含まれています。
炒め物やドレッシングに利用すると、極めて健康的な食品です。
トランス脂肪酸(還元オイル=硬化油)
これは、天然には限られて存在する主に人工的な脂肪酸です。
天然の脂肪酸の大部分はシス型という分子の形をしています。
米国の食品産業は還元植物オイルからマーガリンやショートニングを作り出しました。
ショートニングの入ったパン、パン粉やケーキ類はかみ心地や歯ざわりのよいものです。
しかし、欧米では現在、人工的につくられたトランス脂肪酸は心血管疾患の発症率を増加させることが報告されており、現在がんとのかかわりが検討されています。
次に皆さまになじみの少ないこのトランス脂肪酸に詳しくお話しましょう。

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